明日世界が終わるとしたら君は

ノベルバユーザー215486

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「明日世界が終わるとしたら貴方は何をしますか?」
この質問は小学校高学年の僕にとって難題だった。小学生の小さな脳みそでは答えがさっぱり出てこない。
「太一は何する?」
隣の席の由紀が興味津々に聞いてきた。
由紀は同じ野球チームに通うクラスメイトだ。天真爛漫で人気者。笑顔が可愛く愛嬌もある。
由紀に好意を寄せている人も多いらしい。
「んー…わからない…。」
考えたがやっぱりこの答えしか浮かばなかった。
「えーつまんない。」
由紀は呆れた様な見透かしていた様な表情で僕を見た。
「つ、つまんないってしょうがないじゃないか。そういう由紀はどうなんだよ。」
「え?私?」
由紀が待ってましたと言わんばかりな笑顔を見せて
「私はね、美味しい物をたーくさん食べる!」
如何にも小学生らしい答えに僕が鼻で笑ってしまったので、由紀は少し拗ねた様な表情をした。何も思いつかなかったくせにと僕を軽く野次ってから僕に向かってあっかんべーをした。
それから月日が経ち、僕らは同じ中学校に行き、同じ高校に進学した。そして僕と由紀は野球部に入部。中学の頃は女子部員でも試合に参加できたが、高校では参加できないのでマネージャーを勧めたが由紀は選手にこだわった。今思うと選手になりたい由紀を止めるべきだった。



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