引きこもりが、魔族になって異世界生活!

おっちゃい

プロローグ

「ここは…?」
 俺は眼前に広がる景色を見て呟いた。
「一体何が起きた…?」
 俺は今、踏みしめている大地や頬を撫でる風の感触に戸惑っている。

 この訳の分からない事態に陥る前に見た最後の光景は、薄暗い部屋、光を放っているモニター画面、そこに移るゲーム。
 そして床に座ってモニターを眺める俺。
 そうだ、俺は『Avaronia(アヴァロニア)』というMMORPGをやっていたんだった。

 今日も一人家にこもってずっとゲームをやっていたから、記憶が曖昧になっている。

「隠し要素とか全部解放しちゃったなぁ。暇すぎワロタ…お。メール来てんじゃん、しかも運営からだ」
ふと運営からのメールに気づき、開くと中にはこんなメッセージが書かれていた。
『異世界に行きたくはないかい?そんな君にボクからのとっておきのプレゼントだよ!URL→http://www.Avaronia.com/※※※※※※』
「はぁ?異世界ぃ?そら行けるんなら行きたいけども。ていうか運営からのメールだよな。『ボク』って誰だ…?それとこのURLも」
 やり込んだ俺へのご褒美だったりして!
それで、そのURLを押したら急に目の前が真っ暗になって…

 そんで気がついたら
「異世界…と」
自分で話していて訳が分からなくなってくる。かつて、URLを開いて異世界に行った人がいただろうか!…いたかも。

「それにしても…なんにもないな」
 見渡す限りの草原。後方には背の高い木々が集まっているのを見るに森林があり、少し離れたところには粗雑な道のようなものがあった。

「とりあえず村か街でも探してみるか」
 自分でも驚くほど冷静だった。まあ、正直なところ気持ちが高ぶっている。というのが本音だ。

 なんてったって異世界だからな!テンション上がらんわけないだろう!?
「いざ行かん!」

 なんとなく叫んだかけ声とともに、俺は道に沿って歩いていく。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品