裏切られました。

おれんじ

嫌な予感

あれから怜斗は毎日昼休みに教室の扉を開けては桃花の教室へと足を運んでいた。
「……」
それを見ていたカナは、なんだか複雑な気持ちになった。
怜斗と話していた桃花はこちらを向くと「お昼ご飯一緒に食べませんか?」とカナと桜を誘ってきた。
そして今、屋上に四人一緒に座って朝に作ってきた弁当を食べている。
不意に、桃花が聞いてきた。
「カナちゃんって好きな人いないの?」
「!?」
カナは口に含んでいた飲み物を思わず吹き出しそうになる。
「そういえば私、カナの好きな人とか聞いたことないなー」
「いやいやいや、いないから!」
カナは、桃花の質問にぶんぶんと首を横に振る。
「本当かよ」
怜斗が怪しげな目でカナを見つめる。
「本当だって!」
「ふーん…」
「……」
すると桜はこんな言葉を発した。
「カナの好きな人って怜斗じゃないの?」
「はぁ!?誰がこんなバカを!」
「しつれいじゃね!?」
「二人って仲いいよね!」
桃花がパァっと効果音がつきそうな笑顔で言う。
「「よくない!」」
幼馴染の二人はまるで打ち合わせをしていたかのように声をピッタリと揃えて桃花に声をあげる。
「そうなんだー」
桜がつまらなさそうそう言うと、弁当を食べるのを再開する。
すると、怜斗が慌てたように大きな声を倍にして叫ぶ。
「うるさ…」
「やべぇよ!もう授業始まる!」
怜斗の発言にカナは慌ててスマホを見る。
「ほ、ほんとだ!行こう!」
「う、うん」
時間に気づいた桃花と桜は屋上の扉を開け、教室まで戻っていく。
「怜斗!私達も行こう!」
「ちょ、」
カナは怜斗の手を引いて走り出す。
怜斗とはクラスが違うので、途中で別れて教室の扉を開け中に入った。
先生はまだ来ていないようでカナは内心安心していた。
席につくと、つかさず桃花が話しかけてきた。
「間に合って良かったね」
「うん…」
やがて先生が教室に入ってきて、授業をしていた。
授業の間は怜斗がLINEを送ってたが、カナは全て既読スルーをしていた。
そして放課後。
カナはいつも一緒に帰っている桜を誘おうと鞄を持った。
カナが立ち上がったと同時に桃花が話しかける。
「あのさ、先生に資料運ぶの頼まれちゃって…手伝ってくれないかな?」
桃花がそう言うと、カナは桜の方をチラリと見た。
カナの視線に桜が気づくと察したように「待ってる」と口パクでカナに伝えた。
「…わかったよ」
「ありがとう!」
桃花はいつもの得意なスマイルをカナに向け、二人で大量の荷物を運んでいった。
「そういえば、どこまで運べばいいの?」
「空き教室だって!」
「なんでそんなところに…」
そんな会話を続けていると、いつの間にか二人は空き教室の前にいた。
中に入り、資料を置くと桃花がこんな話をし始めた。


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