【実話小説】出会い系シンドローム

ヒロ先生

第3章:秘密の花園

コンビニに到着し、隣にあると言われたアパートを見回したが、コンビニの両方ともアパートになっている。さて一体、どっちの前に行ってから自転車のベルを鳴らせばいいのか。片方はあまり綺麗ではない感じで、もう片方はワンルームっぽい感じだ。大学生ならきっとこっちに住むだろう。そう判断し、ワンルームの方へ行く。

目の前に到着し、自転車のベルを鳴らした。

「ジリリーン」

・・・。

反応が無い。聞こえないのか。また鳴らしてみた。

「ジリリーン」

すると、手前から3軒目のドアがスッと開いた。顔が出てくると思ったが、出てきたのは手先だけ。手首をくいくい振ってここだよと合図をしてまたドアを閉めてしまった。なぜ閉めたのだろう。後ろめたいのか?自転車をコンビニに停めさせてもらい、お姉さんの部屋へと足を向けた。ドアの前に立ちって軽くノックをする。

「コンコン」
「・・どうぞ」
「あ、はい、お邪魔します・・」

そしてドアを開け、まず用心深く入り口から様子を伺う。一応、お姉さん以外に人影は無いみたいだ。少し安心した。

「入ってきて・・」
「あ、はい!!」

自分の妹の部屋以外に、女性の住む部屋なんて見た事が無かった。ましてや自分より年上で、一人暮らしの女性の部屋なんて。高校生だった僕には全く縁の無い所で、見るもの全てが新鮮だった。ヘアスプレー?香水?のいい香りがした。ここで初対面。どんな女性なのか・・口から心臓が出そうな感じだった。

「はじめまして・・・」

部屋の中で待っていたのは、とても可愛い顔をしたセミロングの女性だった。軽くソバージュが掛かっていたのは、当時の女子大生の流行りだったからか。

顔を見た瞬間好みじゃなかったらどうしよう、なんて贅沢な事を考えていた。でも、そんな事は目的じゃないんだ。この女性を慰めなくちゃ。

「どうも・・・初めまして」
「アパート、すぐに分かった?」
「えっと、最初どっちか迷ったんですけどきっとこっちの方が綺麗だから」
「そう、すごいね、正解。」

お姉さんはさっきよりは少し元気が出ているようだった。少なくとも涙はもう出ていなかった。

「何か飲む?」
「あっ、はい何でも・・」

お姉さんは台所にある小さい冷蔵庫に向かった。
興味が尽きない僕は、キョロキョロと部屋を見ていた。

「何か珍しいものでもあるの?」
「いや、あの・・女性の一人暮らしなんて見慣れないので・・」
「そっか。まだ高校生だもんね」
「それより、もう少しは落ち着きましたか?」
「うん、結構泣いたけど今はだいぶすっきりしてる。」
「彼とは長かったんですか?」
「1年位かな。3日前までこの部屋に一緒に住んでたんだ」

だとすれば彼の生活感があっても良さそうだが、全く感じられない。きっと全てを整理したんだろう。決して大きくない部屋にベッドがあるので殆どをベッドに占領されていて、その横に小さなテーブル。僕はそのテーブルの前に座り、お姉さんはベッドの上にクッションを抱えながら座りこちらを向いて話をしていた。

他愛も無い話をし、互いに緊張の中で笑った。さっき初めて会ったばかりの相手とは思えない位、次から次に矢継ぎ早に色々な話をした。

沈黙が怖かったのだ。

もし沈黙がきっかけでお姉さんにため息をつかせちゃいけない。何の為に自分はここへ来たのか分らなくなる。もし黙ってしまったらどうやってその場を取り繕っていいのか分からない。

ただひたすら無我夢中だった。

1時間ほどおしゃべりをした時、とうとう自分の頭から話題が失せた。出身の話、芸能ネタ、ニュース、全て出尽くした。

ついに恐れていた沈黙の時間が出来てしまった。
マズイ・・どうするか・・

今度はお姉さんが口を開いた。

「ねぇ、高校生の男の子って、やっぱり自分でエッチな事するの?」
「え??」

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