流浪の薬売り

こうじ

プロローグ

 僕の父さんはかつては宮廷に遣えていた薬剤師だった。
 しかし、僕が産まれてすぐに母さんが亡くなってすぐに宮廷を飛び出したそうだ。
 曰く『身近な人を救えないのに、他人を救える訳が無い』らしい。
 そこから始まったのが薬草の研究だった。
 一口に薬草と言っても種類が色々ある。
 中には毒もあるので取り扱いには気をつけている。
 父さんは自らの体で実験を行い、効果を試した。
 お陰で父さんの調合した薬は評判が高かった。
 父さんは薬をなるべく安く提供していたお陰で家は貧乏だった。
 それでも、僕は父さんが大好きで自然に僕も薬屋を目指す事にした。
 そんな父さんも薬草取りをしていた時に事故にあい死んだ。
 僕は天涯孤独のひとりぼっちになった。
 更に言えば例の元カノの件で村に居場所が無くなってしまった僕は、村を出る事になった。
 まぁ、当てもない気ままな一人旅にするつもり。
 勿論、薬を売りながらね。
 僕は『ラセン』、流浪の薬売りだ。

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