妹のために高校生活を棒に振ってます。

ハルミカン

1話

ジリリリリリッ!

ガチャッ!

「・・・朝か。」

(正直学校に行きたくねーな)

短い春休みを終え、今日から新学期が始まる。マンガやアニメのヒロインは新学期となると、なぜかテンションが高くなるものだが、この男《佐藤たける》はそうではない。

だるそうに体を起こし、たけるは階段を降りて一階へ行く。

リビングのドアを開けると、妹《佐藤みずき》が朝食を食べていた。

「・・・・ん?」

(おかしい。いつもは朝食の時間に会わないはずだが‥)

「おい、れな。なんで今日は遅いんだ?」

「・・・・・。」

返事はない。おそらく聞こえているだろうが、無視しているのであろう。

(可愛くねーっ!返事くらいしてもいいだろうよ ︎)

たけるはムカついた。が、妹というのはそういうものだろうと開き直り、諦めた。

たけるは朝食をとり、制服き着替えて学校へ向かった。




 この日は新入生の入学式もあった。普通なら、「1年前の自分を思い出すなー」とか、「もう1年たったのか‥」など物思いにふけるとこだろうが、たけるはそれどころではなかった。

(い、妹がいるだと ︎)

まさか新入生に妹がいるとは。たけるは驚きを隠せない。

(え、一言ぐらい言ってよくね?俺がこの高校通ってるの知ってるよね?なに、嫌われてんの俺?)

たけるは過去を振り返った。何か妹に嫌われることをしたのかもしれない。

(・・・・・・。)

(・・・・。)

(・・・なにも思い浮かばねーっ!ってかちょっと待て!俺、中学に上がってから妹と全然話してなくね?なにも嫌われることしてなくね?)

(なんなんだよ、一体‥)

妹というものは訳が分からない生き物だなと思うたけるであった。


入学式が終わり、たけるは家へ帰った。こういうイベントは早く家に帰れるからお得である。

とは言っても、帰っても特にこれといったことはなく、ただただ暇である。

「・・・暇だし、掃除でもするか。」

こう見えてもたけるは綺麗好きなのである。



自分の部屋を一通り掃除機をかけ終わり、次は廊下を掃除しに行った。

「・・・・ん?」

向かいの部屋のドアが少し開いている。れなの部屋である。

(いつも鍵がかかっているのに‥)

たけるはれなの部屋へ向かう。

人間、いつも開いていない部屋があると、その部屋を見たくなるものだ。

たけるは静かにドアを開けた。

「・・・・おぉ」

れなの部屋には本棚がたくさんあり、参考書や教科書などが多く並んでいる。

「・・すげぇなあいつは。勉強熱心だなー」

そう言って、たけるは本棚にならんであった一冊の参考書を手に取った。

「・・・なんだ?」

おかしい。参考書を手に取ったはずだが、漫画であった。

たけるはページをめくってみる。


「・・・・んなっ ︎」

その漫画に描かれているのはーー

そう、BLであった。







コメント

  • 2002

    みずきとれなは別人?

    0
  • Hiyuu

    2話楽しみにしてます
    これからも頑張ってください

    0
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