天魔界戦

皇神凪斗

第28話 仕上げ

アルマ達は最後に残された闘技場フィールドに入る。
円形状のフィールドは中心の更地と外側の客席で大きな段差により分かれている。
客席の下部には他フィールドからの通路が続いており、アルマ達はそこを歩いて入ってきた。
中心の更地にたどり着くとバイダックとフィオ。
客席に二十人程のチームが待ち構えていた。
同時に、反対側からロキ達も入ってくる。
「よぉ!あんたが黒幕か?」
「どんだけバケモノなんだよ!あれだけ戦って四人無事って!」
悪態をつくバイダックだが、その口元はまた笑った。
「⋯けどな!ここに居るのが本命の中の本命!お前らがとち狂ってここに辿り着いても迎え撃てるだけの戦力を揃えてたのさ!」
それを聞いたアルマは勿論喜んだ表情を見せる。
「あぁ!最後に遊ぼう────」

「─────それは結構。最後の仕上げとして申し分無い。」

口を挟んだのはロキだった。
「だが、そいつらは騙されている。」
「なんだって?」
バイダックは焦る。ここまで作戦を覆された事実が不安を煽る。
「待て!お前ら!こいつの言う事を聞くんじゃないぞ!
フィオ!アイツを足止めしろ!」
フィオは周りをキョロキョロ見回して焦りの表情を浮かべる。
「フィオ!聞いているのか!」

「聞こえてないんじゃないのか?」

すぐ耳元でロキの声がする。
驚いたバイダックはフィオに手を伸ばす。
フィオはその手を何よりも危険視したように距離を取る。
「フィオ!何故僕を避ける!?
⋯ん?」
バイダックの腕には見慣れない黒い服に袖を通していた。
「馬鹿な!!この服は!」
「俺の服だ。シャルに頼んだオーダーメイドだ。
せっかくだし楽しんでくれよ?」




「どうなってやがる⋯?」
ロキが話し始めたかと思うとその姿がバイダックに変わり、中心にいたバイダックの姿がロキに変わる。
「そういう事だ諸君。これは俺とバイダックの共謀だ。
奴らが四人揃ってここに来ているのも。お前達のチームがバラバラで戦い脱落しているのも。
ここで俺達に一網打尽にされてもらう為。」
「⋯違う。バイダックはこんな手は使わ────」

「ふざけんな!!」
「いくら何でもこの数で負けるかよ!」
フィオの言葉を聞くものは居ず、頭に血が登った彼らは武器を手に駆け出す。
「え。え?えぇぇぇぇええ!!」
「おい!我武者羅に突っ込んでくるぞ!」
「面白ぇ!全員ぶっ飛ばしてやる!」
「そうだね。最後のひと踏ん張りだ!」


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