天魔界戦

皇神凪斗

第26話 時間切れ

「時間切れだと?」
アルマと同じタイミングで、ロキも同じ言葉を口にしていた。
「あぁ、遊びは終わり。という事だ。」
「挑発なら意味が無いぞ。その手の輩とは何度も戦った。」
クレイは大剣を振り下ろす。ロキは余裕の笑みを浮かべ淡々と攻撃を躱していく。
「勘違いするな。俺が戦うわけじゃない。」
ロキが左手を突き出すと、足元の影が伸びる。
広く大きく伸びた影は起き上がるように地面を離れ、素早くクレイに巻き付く。
「何度やっても無駄よ!『魔防壁』!」
クレイの体を中心に大きくなる『魔防壁』が巻きついた影を引き剥がす。
「本当に無駄かな?
『黒炎 魔弾』!」
今度はロキの人差し指から黒い炎が飛び出す。
黒い炎は『魔防壁』に触れると、それを溶かして大きく燃えていく。
「な、何だこの魔法は!?」
「『黒炎』は魔力を燃料に燃える炎。
魔法を食らう魔法だ。」
「ならば!」
クレイは素早く飛び上がり、落下しながらロキへ大剣を全力で振り下ろす。
「避けるのは簡単だが⋯
巨人の腕ギガントアーム』」
ロキの両隣りに魔法陣、底から大木のような岩の腕が現れる。
振り下ろされる大剣を、二本の腕が掴んで受け止める。
「馬鹿な⋯貴様は最初から⋯。」
ロキはニヤリと笑うと指を弾いて魔法を解除する。
そして、少し距離を置いて更に魔法陣を展開する。
「舐めるなよ!俺を馬鹿にしているな!」
「待て、戦うのは俺じゃないと言っただろう?」
困惑する皆を気にせずロキは魔法を発動させる。
「『テレポーテーション』」
光に包まれるロキ。眩しいほどの光はある程度大きくなると、今度は少しずつ縮んでいく。
光が完全に消えた時、そこに立っていたのは別の男だった。

「アルマ⋯君?」

男は振り返って笑顔を見せる。
「おう!合流成功だな!」


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