天魔界戦

皇神凪斗

第23話 純粋な強さ

アルマ達の前に新手が現れたように、
ロキ達の前にもバイダックによって編成された対策チームが待っていた。
「五人⋯で、俺が倒せると思われてるのか?」
待ち構えていたのは杖を持った四人の女と一人の大男だった。
「アンタ調子に乗りすぎでしょ。」
「お前が強いのは知っている。ただこれ以上の人数がいらないと言うだけだ。」
「ほう?」
その会話を聞いていたカイトがロキの肩を掴んで下がらせる。
「気に入らないな。まるで俺達が居ないような話の仕方だ。」
「分かってるなら静かにしてなよ。いてもいなくても変わんないんだからさ。」
メルがムッとした顔をしたかと思うと、スっと杖を取りだし男たちに向ける。
「『嵐風槍』!」
周囲の風がメルの前に集まり、鋭く太い槍へと姿を変える。
杖の振りに合わせ、放たれる槍は進む事に周囲の風を取り込み大きくなっていく。
その槍の前に女が一人飛び出す。
「『鋭岩槍』!」
女の魔法陣から飛び出した尖った岩の槍はメルの風と衝突、相殺する。
「!?」
「口だけじゃ無いみたいだな。ただ魔法が使えるってだけで選ばれた訳じゃないようだな?」
「てめぇは喋りすぎだ!少しは言葉を選べ!」
女は再び『鋭岩槍』をロキへ向けて放つ。
「『アクアバレット』」
ロキの人差し指の先に小さな魔法陣が展開され、その魔法陣から雫一滴が高速で発射される。
雫は向かってくる岩の槍に潜り込んだかと思うと、岩が粉々に弾け飛ぶ。
更に雫は飛び、女の頬に一筋の傷をつけた。
「お前も口よりは腕を動かした方が良いんじゃないか?」
ロキはニヤリと笑い、相手を煽る。
やり取りを見ていた大男が動き出し、ロキの前まで歩いてくる。
「そこまでにしてもらおう。悪いがお前の相手は俺だ。」
大男は長剣を取り出して構える。
「何度も言わせるな!俺もいる!」
カイトがロキと大男の間に割り込み槍を構える。
「待て、こいつは────」
「バカにされたまま黙って居られるか!俺が相手をする!」
カイトは大男へ向かって槍を突き出す。
大男は長剣を斜めに構え、槍の切っ先を剣の背で滑らせる。
勢いのままカイトは槍に引っ張られ、体勢を崩す。
大男はその隙を逃さずカイトの腹部へ向け長剣を振るう。
「『氷鎧』!」
カイトの腹部に魔法陣と共に氷が這う。
厚い氷の鎧が長剣を受止めた。
カイトは意外な反撃に驚き、距離を取る。
「だから待てと言っただろう。こいつは力と技術を併せ持つ純粋に強い敵だ。無闇に近づかない方が良い。」
「ロキ君がそこまで言うなんて、彼は本当に強いんだね⋯。」

ロキは今度は楽しそうにハッと笑う。
「面白い!お前達は後ろの女共の相手をしろ。

こいつとは俺が遊ぶ。」



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