天魔界戦

皇神凪斗

第19話 襲来

シャールの『氷結』はゆっくりと、しかし確実に迫ってきていた。
「それなら⋯『フレア・バーン』!」
頭上の氷が伝ってくる岩を爆破する。だが上面が凍っている為、傘のような形が残り、シャールはその上に乗っていた。
岩は爆破の勢いで少し飛んだ後、やや傾いて海へ向かって落下し始める。
「さあ!今度はあんたが選択する番だぜ!」
「魔法の使えない海に落ちるか、岩陰から飛び出して魔法で撃ち抜かれるか。好きな方を選びな!」
シャールは岩の裏で爪を噛む。
「魔法の雨に晒されるくらいなら、いっそ海に落ちてやり直した方がマシ⋯ですかね。」

「─────ァアアア!!」

背後から聞こえる声に気づくシャール。そんな事は無いと思いつつ、期待して振り返る。
急速に接近され、姿を確認する前にその者は拳で岩を破壊する。
「インパクト!!」
砕かれた破片は下にいたチームの二人をバラバラにする。
その者はシャールを抱きかかえ、残りの二人の間に着地する。
「お前!?何故ここに!?」
「俺がどこにいようが、俺の自由だろ?」
アルマは剣を取り出して、二人を両断する。
そして、直ぐに剣をしまいシャールを下ろす。
シャールは驚きつつ質問する。
「ど、どうしてここに?」
「森のフィールドで突然『転移魔法』で飛ばされて、適当に走ってたらここに来れたんだ。」
そう言ってる間にルルカとゼツも合流する。
「なんか知らんがツイてたみたいだな。」
「うん。目標達成。」
「目標?」
「はい。私達の目標⋯と言うか目的はアルマ君を本戦へ選抜させること。つまりはお手伝いですね。」
「お、おう。でも俺がお前らを助けちまったぞ?」
「ロキとの分裂は。不測。」
「幸か不幸か。よく分からん。」
「てか、そっちもロキがいねぇみたいだな。」
「ロキは恐らくレイジさん達と合流を目指したのかもしれません。この状況を見越して。」
「そうか⋯なら、次は俺らが合流すればいいのか?」

「⋯⋯どうでしょうね。」

シャールは怪訝な顔をする。
「私達だけでなく。アルマ君達が分断されたことを考えると⋯これは一チームの苦肉の策、とは考えにくいです。」
「やっぱり。誰かの作戦?」
「だろうな。数チーム、いや数十チームが結託してる感じはする。」
「てことは、合流を目指したら邪魔をしてくる⋯か。」
「はい。なのでここは──────」

「もちろん、邪魔をするやつを片っ端からぶっ飛ばせば良いんだな!」

「「あー⋯。」」
三人は言葉を失う。それを知らずに目を光らせるアルマ。

「ま、何とかなるんじゃねぇか?」


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