天魔界戦

皇神凪斗

第52話 いずれは

「ルーズ!」
他に追手は入ってこない、しかしその一人がルーズだと言うのは幸か不幸か。
「待ってくれ!このままだとロキが危ないんだ!お前なら分かってくれるだろ?」
ルーズは魔法陣を展開する。
ムラサキも抵抗するように魔法陣を展開した。
「そうは行かない。そいつの行動は目に余り過ぎる。
それに、どうしてそんな重い罪が課せられているかお前がよく分かっているだろう?」
「でもこの仕打ちは無いんじゃない?せめて戦いの傷を治すくらいはして欲しいものよ。」
「それが躊躇されるくらいそいつは危険で、俺達としては絶好の機会なんでな。」
「だったらやり合うしか─────」
「待ちな。もしここで魔法を使ったら居場所がバレちまうぜ?
まだうちの部下が近くをウロウロしてるんだからな。」
そう言うとルーズは魔法陣をしまう。
「・・・じゃあ貴方は何しに来たの?」

「お前達、いやそいつロキには二つの選択肢がある。
一つは大人しく処刑を受け入れる事。
もう一つは命をかけて『管理政府』と言う組織から逃げ続ける人生を送る事。」
管理政府は大きな組織で至る所に支部を持つ。普通なら逃げ続ける事は不可能なのだが。
「そんなもん、選択肢とは言わねぇよ。ルーズ。
ロキが大人しく処刑を受け入れるわけが無い!」
「そうか・・・。それは残念だ。」
ルーズは『ケリュケイオン』を取り出し、魔法陣を展開する。
「この家ごと吹き飛ばす気か!?」
「当たり前だろ。じゃあ消えな!
『蒼炎─────』」

「そこまで!!」

突如聞こえた叫び声。気がつくとルーズの後ろに一人の女性が立っていた。
「ルーズ、随分勝手な真似をしてるわね。」
「これは管理政府の仕事だろ?」
その女性はレミアールだった。
「全く・・・・・・。
その男の処刑は一時中止となりました。よって貴方達を捕まえる事はありません。」
「ど、どういう事だ!?」
「先程、我々の上役が結論を出しました。
その者が人類の敵に対して戦う姿勢を続けるならしばらくは処刑は見送る事になりました。」
「しばらく?」
「えぇ。また天使や悪魔が攻めてこないと断定出来ない以上、それらに対抗出来る戦力を残しておきたいと言う事です。
これから管理政府は彼の代わりになる戦力を得る計画を進めます。
そして、いつか彼が不要と判断した時、彼の処刑が実行されます。」
「要は良いように使って要らなくなったら斬り捨てるって事だろ?」
「・・・話は以上です。引き上げますよ。ルーズ。」
「・・・・・・あぁ。」
ルーズは不服そうな顔をしつつも撤退して行った。

「なんとか、乗り切ったのか?」



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