天魔界戦

皇神凪斗

第50話 逃亡

「話は終わりだ。」
それだけ言うと、総支部長の姿が掻き消えた。
「フ、フンッ!もし何かあったら君には責任を取ってもらうからな!」
他の老人たちも立ち去る。レミアールも踵を返し、立ち去ろうとする。
「待ってくれ。レミアール。」
最後に残ったセイルがレミアールを引き止める。
「僕が折角フォローをしてあげたのにそれを無視したね。」
「でも私の意見に一番反論をしたのも貴方ですよね?」
「それはそうだが・・・この立場の人間として、客観的な意見を述べた。
・・・いや。僕は君の友として協力してあげたい反面、その行動が危険だと思ったから反対なんだ。
一体どうしたんだ。あんな犯罪者に味方するなんて。」
「味方をする気はありません。でももし、本当に明日敵が攻めてくるとしたら今彼を処刑するのは愚策。
今すぐに彼を処刑するメリットも特に無いと思っただけよ。」
「・・・・・・困ったことがあれば言ってくれ、出来ることなら協力する。」
「えぇ・・・。」






「どうなってんだよ・・・。」
アルマが管理政府の近くまで行くと多くの人間が集まっていた。
勿論悪い意味でだ。管理政府の周りには所々から氷の柱が飛び出し、管理政府の人間が数人倒れていた。
「シャールか。ロキを連れ出して逃げたんだ。」
アルマはある方向を睨む。
「だとしたら・・・あの場所か・・・。」




アルマは懐かしい家に帰ってきた。短い期間だがとても思い入れのある家。
しかし、抱えている感情は喜びではなく悲しみと恐怖。
震える拳で扉をノックする。
返事はない。当然といえば当然だが。
「俺だ。アルマだ。」
しかし、返事は聞こえない。
「一人だ。管理政府の人間はいない。」
少しして、扉のロックが解除される。
扉を開けアルマは中に入る。
少し歩くと背中に鉄の感触。銃を突きつけられる。
「クロか。」
「ゼツだ。
肌が黒いからって適当言うな。」
「そこにいるのはムラサキか。」
ムラサキはナイフを構えながら姿を現す。
「二人なら奥にいる。手を挙げながら進みなさい。」
「お前達はロキを守ってくれるんだな?」
「あんな奴でも俺達の仲間だ。変わりはいない。」
アルマはゆっくりと進んでいく。
奥にあるアルマの部屋に二人はいた。
今にも泣きそうな顔でこちらを見るシャール。
無造作に巻かれた包帯に身を包み、苦しそうな表情をしたロキが横たわっていた。

「助けて・・・アルマ君。」



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