天魔界戦

皇神凪斗

第49話 情報統括部門長

「それではどんな犯罪者でも功績があれば罪が帳消しなる。と、世間へ情報を発する事になります。それは大きな混沌を招く事になると理解していますか?」
管理政府。情報統括部門長 『セイル・ファンデール』
市民の情報を集め、あるいは規制して世界の流れをある程度操る部門の長。この場にいるレミアールを除いて一番若い彼がその人である。
「そ、そうだとも!例え彼奴がどれだけ有能であっても市民に混乱を招く行為は避けるべきだ!」
思い出したようにその発言に乗る老人。
しかし、それは最もな発言でもある。
「例え大きなデメリットが合っても彼は生かすべきです!今後、強大な敵がまた現れた時彼がいるといないでは勝率が大きく変わります!」
「フンッ!犯罪者の手など借りなくとも、これから対策を講じれば良いだけの事だ!」
「では明日。また敵が攻めてきたらどうします?」
「ぐうっ!?だ、だかそもそも奴が手を貸すとは限らない!むしろ敵に回る可能性すらある!」
「今回は全人類の危機でした。その規模の戦いであれば彼にも害が及ぶはず、そうすれば彼は必ず力を貸してくれます。」
「で、では─────」

「お静かに!!
・・・総支部長の前ですよ。」

セイルは老人の言葉を遮り、二人を睨みつける。
「そ、そうだとも。全くこんな所で騒ぎ立てるなど失礼に値する。」
老人は汗をかきながらそれを隠そうと口を動かす。
「貴方も。少し黙っていて下さい。」
「ぬぅ・・・。」
「はぁ・・・レミアールさん。確かに貴方の言う事も一理あると思います。しかし、市民からも彼を処刑するよう声が上がっています。
そして、貴方の考えを言い訳にその声が病むとは私は思えません。」
「はい。それは分かっています。」
「それなら、何か策を考えていると言うのですか?」

「彼を市民の前で処刑を執行すると見せかけ、死んだ人間として顔と名を変えて生かしておくことは出来ないでしょうか。」

「それは・・・・・・簡単では無いですね。」
セイルは迷ったのか少し視線を逸らした。
「出来ないとは言わないのですね。」
情報統括部。情報を集めると共に、噂として世間に情報を流し世論が悪い方へ流れないように操作するのも彼の仕事だ。逆に言えば、彼の意思次第で思うように世論を変えられる。
レミアールとしては彼を味方に付けたい所なのだ。
「セイル君待ちたまえ!そんな事をしたとバレれば、『管理政府』そのものに不信を抱かれ、立場を失うのだぞ!」

「レミアール君。」

レミアールの正面。ずっと話を聞くだけの『総支部長』がついに口を開いた。
「確かにセイル君ならば君の策を上手くこなせるだろう。しかし重要な事は一つだよ。

彼を『管理』出来るかどうかだ。」



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