天魔界戦

皇神凪斗

第48話 管理するもの達

アルマが目覚める少し前、レミアールは管理政府の上層部達と会談していた。
レミアールが居るのは管理政府のスティルマ拠点。その通信室と呼ばれる、魔法が部屋全体に書き記された特殊な部屋にいた。
部屋に描かれた魔法に魔力を流すとレミアールの体は光となって散る。
レミアールが瞬きする間に別の空間にいた。
と言うより、魔法で作られた仮想世界。ゲームの中の様な物でこの世界では傷を負う事は無く、ただ他の者と対話するための空間として作られている。

レミアールの前には一段高い場所で椅子に座って机に肘を着いている人が複数。
ほとんどが老人で若そうな人は一人しか居なかった。
そしてその後ろ。もう数段高い位置で大きな椅子に座った総支部長。管理政府の支配者が見下ろしていた。
レミアールはすぐに膝をつき頭を垂れる。
「それで・・・スティルマ拠点のレミアール。『漆黒の惨殺者 ロキ』の処遇について不満があるそうだな?」
総支部長は語らず、目の前の老人が話す事を淡々と聞いていた。
「彼奴の処遇?処刑に決まっておる!
無法者デスペラードによってどれだけ被害が出たのか、忘れた訳ではあるまい!」
「まぁまぁ・・・。彼女は彼と一度戦って殺されかけたとルーズとやらが言っていたじゃないですか。減刑じゃなく、罪を重くして欲しいとか自分の手で処刑を行いたいとかそのような要望では?」
「・・・ふむ。で、どうなのかな?レミアール。」

「私は・・・彼を処刑する事に反対です。」

その場にいた全員が怪訝な顔を見せ、レミアールを見る。
「まさか・・・本当にそんな要件で総支部長を呼び出したと?」
上層部に相談してもどうせ総支部長の耳まで届く前に潰されるから、という言葉を飲み込み、レミアールは口を動かす。
「今回の件。『天魔界戦』において、人類が生存出来たのは彼の功績が大きいと言わざるを得ません。」
『天魔界戦』天界の天使達と魔界の悪魔達と行った先の戦争をそう呼んだ。
「まぁ・・・一応、功績とやらを聞くとしよう。」
「はい。
悪魔の襲来を知ってすぐ魔界へ乗り込み。魔界の悪魔達に一撃を与え襲来を遅らせる。
そして一度人間界へ帰還し、今度は天界へ乗り込みグランギルドのアルマを奪還。
アルマは最も大きい功績を上げた者です。彼を救い出した事はかなり重要な役目を果たしたと思われます。
そして、『天魔界戦』において強敵である四大天使の内二体を撃破。更に悪魔達を指揮していた悪魔を仲間につけ、勝利に大きく貢献しました。」
聞いていた老人達は空いた口が塞がらなかった。
「そやつは本当に人間か?」
「ハッタリにしてももう少し信憑性のある事を言って欲しいものだね。」

「少し待っていただきたい。
勝利に彼の功績が大きい事は十分に分かった。・・・しかし、それだけで罪が無くなる訳じゃない。」



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