天魔界戦

皇神凪斗

第46話 戦いを終えて

気がつくとアルマは戦場に戻っていた。
周りには何も無い。人間が倒れている以外は。
「ハ・・・ハハハ・・・やって・・・やった・・・ぜ・・・。」
アルマも力尽きその場に倒れる。

多くの倒れた人間の中から一人だけむくりと起き上がる。
天白ギルドの魔具を持った女だった。
ミカエルの渾身の魔法を咄嗟に伏せて躱し息を潜めていたのだ。
「あ、危なかった〜・・・もう少しでアタシが殺される所だったわ。
・・・ん?」
女の手にぬるりとした感触。赤い液体。
「!・・・かなりの出血じゃない!このままだと・・・。」
とはいえ血を流しているのは一人ではない。周りにいた大勢がいまだに血を流し続けていた。
「はぁ!?アタシ一人でどうしろって言うのよ・・・。
いや、落ち着くのよアタシ。あいつならこの状況を・・・。」
辺りを見渡し、目的を人物を探す。
目的の人物は倒れていたのだがその男が簡単に死なない事は女はよく分かっていた。
「ちょっとアンタ!起きなさい!働け!『ハク』!」
「・・・ごめん。僕はもう・・・。」
「え!?もしかして、怪我したの!?」
「・・・・・・いや、魔力が少なくてダルい。」
ブチリと何かが切れる音がする。
「アンタなんか『壊してやる』!!」
女は大槌を振り上げる。
「ちょ!ちょっとタンマ!ほんとに死ぬって!」
「じゃあ働け!」
「・・・ハイハイ。僕はギルドマスターなのに・・・。」






目を覚ますと白い天井。とても懐かしい天井だった。
ギルドを離れるまではよく見ていた病室だった。
「気が付いたかい?」
「ゲッ!」
「君を救った医師に対してその反応は無いだろう?」
「あ、アリガトウゴザイマス。」
医師は微妙な顔をしながらアルマが起きた事を報告に部屋を出ていった。
そして、入れ替わるようにレイジが入ってきた。
「アルマ君!起きたんだね!」
「おぉレイジ!・・・なんか思ったより元気そうだな!」
「そうでも無かったよ?運ばれた時は地獄みたいな惨状だったみたい。
どちらかと言うと君がお寝坊さんだったよ。」
アルマは近くにあった魔法のカレンダーを見ると戦いから一ヶ月程経っていた。
「ま、まじかよ。」
「それとアルマ君・・・早速で悪いんだけど今、大変な事になってるんだ。」
「何だよ急に。そんなにヤバいことなのか?」

「ロキ君が処刑されるかもしれない。」



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品