天魔界戦

皇神凪斗

第45話 償い

気がつくとアルマは別の場所にいた。
そこは白い世界。白い床と白い天井。どこまでも壁が無く。無限に続きそうな空間。
「ここは・・・確かエクスカリバーを解放した時の・・・。」
「如何にも。」
いつか見た。アルマの知るミカエルが目の前にいた。
「元に戻ったのか?」
「堕天の力が抜けたのみ。元に戻ったとは少し異なる。」
「・・・でもさっきの方が話しやすいな。」
「・・・・・・そうなのか?
どちらにせよ、君には悪い事をした。」
「謝るな!俺だってお前の仲間を・・・。
俺がお前を堕天させたようなものだ。」

「それは違うよ。アルマ。
確かに私は『負の感情』に飲まれた。
しかし、私を堕天させたのは他の力だ。」

「『他の力』?」
「『世界の原則』だ。
『禍津カイン』を倒す為に『世界』が私を堕天させた。」
「またそれか・・・。」
ミカエルは真っ直ぐアルマの瞳を見つめる。
「アルマ。最後に忠告する。
この先、君が戦いの中で生きるつもりならいずれ私のような敵が現れる。
そして、君は遠くない内に『必ず死ぬ』」
「待て!色々言いてぇ事はあるが、『最後』ってどういう事だよ!」
「・・・もう君の傍には居られない。そんな資格は私には無い。」

「ふざけんな!!」

アルマはミカエルの肩を強く掴む。
「資格ってなんだよ!それは俺がお前に傍にいて欲しいって意思より重要なものなのか!?
・・・俺だってお前の仲間を殺しておいて堂々と言う資格なんてねぇと思う。
でも、このまま別れるなんて納得いかねぇ!!」
「だったらどうする?私の仲間とこの戦いで死んだ君の仲間を生き返らせるとでも?」
「・・・それは無理だ。死んだ人間が生き返るなんて有り得ねぇ。例え生き返っても罪がなるなる訳でもねぇ。

だから、償わせてくれ。
どんな方法かも分からねぇ。どうすればお前が納得するのかも分からねぇ。
けどここで別れたら一生この罪から俺は逃げ続ける。
そんなのは御免だ・・・。」

ミカエルは少し笑った。
「フフッ・・・それは自己中じゃないのかい?」
「悪いかよ。人間ってのは自己中なんだよ。」
「悪くは無いさ。・・・そうだね。堕天した私は天界に戻れない。魔界に行っても殺されるだけ。
なら、君と居るのが正解かもしれない。
君に罪悪感を抱いて楽な選択をするのもまた自己中かな。」



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