天魔界戦

皇神凪斗

第37話 ベリアルの真意

「もしかして、人間に付いたのかな?ベリアル。」
ミカエルはベリアルを睨みつける。
「別に守った訳ではない。私に対するお前の攻撃を打ち消しただけだ。」
「さっきから見ていたよ。君には人間を攻撃する気配が無かった。」
「見ていた?何を見ていたんだ?私は人間を数人殺したぞ?」
「ふざけた返事はやめろ。真面目に答えるんだ!」
怒るミカエルを見てベリアルはほくそ笑む。
「さっき言っただろう?お前が私に攻撃したからだ。」
はあぁ、と大きなため息をつくミカエル。
「少しは人間を殺してくれると期待した私が馬鹿だったようだ。
邪魔をするなら君も殺す。」
「それは出来ない相談だな。
お前の相手は・・・私じゃない。」
剣を構えようとするミカエル。
しかし、それよりも早くベリアルの炎が動く。
ミカエルを囲うように炎が襲う。
「こんなもの・・・時間稼ぎにもならない。」
そして、ベリアルは──────

────こちらを振り向いた。

「!!・・・零点凍土!!」
それに気づいたシャールが片腕でロキを抱えたまま、もう片方の腕を地面に叩きつける。
すると、シャールを中心に地面が凍り始める。
どんどん凍り始めその範囲を広げていく。
しかし、その氷がベリアルまでたどり着くことは無かった。
「おい、どういう事だ!!シャール!!」
カイトが声を荒らげる。

「何故俺達まで凍らせる!?」

シャールの近くにいた者はその足を凍らされ、身動きが取れなかった。
「全員、動かないでください。」
「そんなわけに行くか!・・・・・・!?」
気づくとシャールとロキの前にベリアルは立っていた。
「(速い・・・さっきも俺達の後ろからミカエルの前に移動しているのを見ることが出来なかった。)」
ベリアルはゆっくり手を伸ばす。その先にはロキの頭があった。

「起きろ!いつまで寝ている気だ?小僧!」
ベリアルはロキの頭に手を乗せる。

「『悪魔転生』」

ロキの足元に魔法陣。そして、眩い光を放つ。
それと同時に、ベリアルの身体が消え始める。
ベリアルの身体が消えるにつれて、ロキの身体が黒く染まり始める。
全身が真っ黒に染まった時ロキは目を見開いた。

「まさか・・・君が契約していたのがベリアルだとわね。」

ロキは周りを見渡し、ゆっくりと立ち上がる。

「全く。お前の手を借りる予定は無かったんだがな?」
『文句があるなら無力でひ弱な自分に言うんだな。』



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