天魔界戦

皇神凪斗

第33話 アルマとミカエル

ミカエルはロキの首を掴み、剣を構える。
ロキは切られた痛みと首を絞められている事で反撃が出来ない。
「やめろミカエル!!」
アルマは当然ロキを救おうとミカエルへ向かう。
「はぁ・・・待ちなよアルマ。」
ロキの胸元に剣を突きつけられ、アルマは足を止める。
ミカエルは羽根で空中で対空出来るが、アルマは光魔で作り出した足場の上に乗ることしか出来ない。
つまり、空中では自由度がかなり違う。そして、人質を取られた上にやや距離を取って止まってしまった。
「君は必死に僕の行動を阻止するけれど。君にそんな権利があるのかい?」
「それは・・・俺がお前の仲間を・・・倒した事を言ってるのか?」
突然のミカエルの落ち着きに不気味さを感じつつ、機嫌を損なわないように話の相手をする。
「そうだよ・・・君達は私の仲間を殺したよね?
なら私も君の仲間を殺しても文句を言われる筋合いは無いし、ましてや止めるなんておかしいと思わないかい?」
「・・・いやダメだ!どんな理由でも人間を殺していい権利なんてある訳ないだろ!」
「自分で言ってて心が痛まないのかい?
アルマにそんな言葉が合うと本当に思っているのかい?
・・・まあいい。では、視点を変えてみよう。この男だが。」
それはロキだ。ミカエルは心底憎そうな顔でロキを見る。
「この男は君にとって憎むべき相手じゃ無いのかい?
君にとって家族のようなヒューザ村の人々を皆殺しにし、闇の世界で生き残る為に更に多くの人間を殺してきた。
君はこの男を殺す為に私にエクスカリバーの封印を解くよう協力を仰ぎに来たのでは無いのか?
私がこの男を殺す事を君が止める理由なんて何一つ無い。むしろ喜んで任せてくれて良いはずだ。
違うか!!アルマ!!」

「違う!!確かにロキは多くの人間を殺した。でもロキにも守りたいものが出来たんだ!
俺の前でシャールを助けるために体を張った!俺を天界から逃がす為に危険を承知で追ってきてくれた!もしこの戦争で負ければ人間は皆殺しにされる。それを阻止するために悪役になってまで俺達を助けてくれた!
方法が正しい訳じゃない。でも誰かを救う為に生きてきた!

そんな奴を・・・殺したいなんて思える訳無いだろ!!!」

ミカエルは剣を下げる。
「馬鹿だね君は。」
ロキを上に持ち上げる。
「そこまで固執してるこの男を殺せば、君は大いに傷つく!
それをわざわざ教えてくれるなんてさぁ!!」
ミカエルは大きく振りかぶり、地面に向けてロキを投げる。
「ロキ!」
凄まじい勢いで投げられたロキは何の抵抗も見せない。抵抗が出来ない。
そして、シャールの元へ飛来していく。
「ロキ。私が受け止める!」
ロキが勢いのまま地面に激突すればタダでは済まない。シャールは両手を広げ、例えロキに押し潰されると分かっていながらもそこを動かない。
「愛する女と一つの肉塊になって死ね!
『断罪の光』!」
ミカエルが白い魔法陣を展開。それをロキとシャールに向ける。
「させねぇ!!」
アルマはミカエルの腕を横に逸らす。
魔法陣からは黒い光の魔力砲が放たれる。
「邪魔だよ。君は全員を殺して最後に殺す。」
ミカエルは盾でアルマを退かすように殴る。
アルマは左腕で受け止めるが全く違う方向に飛ばされてしまう。
「メルー!!」
「はい!『ウォーターベール』!!」
飛来するロキの前に厚い滝のような水の壁が現れる。水に激突し、やや威力は減少するがまだまだ勢いは強い。
「そんな!」
「私の力を舐めないで欲しいね。『断罪の─────』」
「『ライジング』!!」
レイジはミカエルに斬りかかり魔法を阻止する。
「くっ!鬱陶しい!!」
メルの横に一人の魔道士が並んだ。
「!・・・ムラサキさん!?」
「あのガキ・・・世話を焼かせるわね!
『ウォーターベール』!!」
ロキの前に水の壁が三重に現れ、勢いを減らす。

ロキの体はゆらゆらと空を舞い。シャールの元へ落下する。
「ま、間に合った・・・。」

「ロキ・・・良かった・・・。」


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