天魔界戦

皇神凪斗

第32話 復讐

「そろそろ私達の出番?」
大槌を構えた少女がベリアルを見据える。
「いや、カインが言ってただろ?あんまり戦闘には参加するなって。」
それをウォルトが制止する。
「そうだね。もし僕達が大きな戦果を上げてしまうとまた正義と悪のバランスが大きく傾いてしまう。
僕達が手を引きつつ、出来るだけアルマ君とロキ君の手で今回の一件を乗り切る必要がある。」
長い薄金髪の男もウォルトに賛成する。
「むぅ〜。て言っても不完全燃焼なんですけど。」
「もう役目は終えたし帰ってもいんじゃね?」
「ダメですよ。もしもの事がありますから。

・・・それに、あの堕天使。かなり危険です。」




アルマが正面から、ロキが背後からミカエルへ斬り掛かるが簡単に捌かれてしまう。
剣と盾の熟練度がかなり高い上に、もし命中したとしても硬い鱗で防がれてしまう。
「剣や盾の扱いにパターンが無い。かなりの修羅場を超えて無数に近い扱いを会得しているのか?」
「自慢じゃないけど、私は天使の中でも一番多くの戦いを経験しているんだ。
君達みたいに二十年程度鍛えただけで並べるとは思わない事だね。」
ロキの魔剣を盾で防ぎ、アルマの聖剣を右手の剣で防ぐ。そのまま肘をアルマの腹に打ち込む。
「がァ!」
そして盾でアルマの顔を殴りつつ、足をロキの腹に打ち込む。
「グッ!」
痛みで硬直したロキを右手の剣で切り刻む。
「グアァッ!」
「!!・・・ロキ!」
「させないよ!」
ミカエルは剣に黒い光を纏わせる。
アルマは聖剣で受け止めるがあまりの威力に大きく距離を離されてしまう。
「決めたよ。アルマ、君の仲間を君の目の前で殺す。それこそが『復讐』・・・だろう?」
ミカエルは左手でロキの胸ぐらを掴む。
「『復讐』?・・・や、やめろ!」
ロキの呼吸は荒く、痛みで目を空けられない。
「まずは・・・一人目!!」

「やめろぉぉおおお!!!」


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