天魔界戦

皇神凪斗

第31話 魔王 ベリアル

「グウっ!」
カイトは血を吐き出す。サマエルを倒したとは言え、胸を貫かれている。
「だ、大丈夫ですか!?今『ミストルティン』で回復を・・・。」
「いや、傷口は凍らしている。まだ戦える。」
と言いつつも、顔は痛みを堪える表情で凄まじい量の汗をかいていた。
「ダメです!しばらく下がっていてください。」
「だが・・・まだもう一匹。ヤバいやつが残っている!」
カイトが指を指した先。

「ほう?」

ベリアルは興味無さそうに細めで人間を見渡していた。
周りにいたギルドのメンバーは大勢でベリアルを囲う。
「天使はあの黒いやつミカエルだけ、悪魔もほとんど倒した!この勢いで皆殺しにしてやるぜ!!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」

「やめておけ。私にお前達と戦う理由は無い。」

「え?今なんて・・・。」
「あれだけ仲間を虐殺しておいて最後は命乞いか!?舐めんじゃねぇ!!」
「待て!ロキが言っていただろう!あいつはヤバい!」
カイトの静止も虚しく、メンバー達はベリアルへ突撃していく。
「知ったことか!どうせ手柄を上げて減刑でも狙ってるだけだろ!」
ベリアルは目を瞑りため息をつく。
「警告はしたぞ。人間。」
「うおおぉぉぉ!!!」

ベリアルは何もしていない。
しかし、ベリアルに近づくにつれ熱気を感じていた。
服に火が灯る。しかし、雄叫びを上げながら突撃する者たちはそんな事にも気づかず近づいていく。
そして、ベリアルへ残り数メートルまで近づく。
近くまで近づいた人間は

一瞬で黒炭へと変わる。

もう遅かった。
目の前の仲間が炭へと変わり、恐怖を感じたその瞬間には自身の身体も炭へと変わっていく。

ベリアルへ近づいただけで数十人が消滅した。
「な、何だよ・・・どうなってんだよ!?」
「嘘だろ?こんなんじゃ近づく事すら出来ねぇじゃねーか!!」
「く、くそ!!『爆水大砲』!」
一人が巨大な水の塊をベリアルへ向けて放つ。
しかし、水は瞬く間に蒸発。雨一滴ほどもベリアルへ届かない。
「水がダメなら・・・『雷撃!』」
ベリアルの頭上に魔法陣。そこから放たれるのは轟音と雷。
しかし、ベリアルへ直撃する寸前。炎のベールが生まれる。
その炎のベールが雷からベリアルを守る。
「魔法も防がれるの!?」
「・・・目障りだ。」
ベリアルが人差し指を魔法を放った人間へ向ける。
「?」

直後、発火。
凄まじい火力で叫ぶ暇もなく全身を燃やし消滅させる。

ベリアルはその場にいる全ての人間に恐怖を植え付けた。



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