天魔界戦

皇神凪斗

第29話 強者への挑戦

サマエルの身体から血が滴り落ちる。
「水で濡らして、神器の能力で切り裂く・・・

それだけか?
お前は俺にダメージを与えるには二撃必要。
しかし、俺は!」
サマエルはもう一度溶岩の鎧を纏い、カイトへ近づく。
「一撃でいい。」
カイトへただ単純に溶岩の剣を振り下ろす。
カイトは同じく、神槍で剣を弾こうとする。
「!?・・・硬い!」
サマエルの剣は神器で切りつけられても起動を逸らさず、垂直に振り下ろされる。
「くっ!」
カイトは神器の柄で剣を受け止める。
だが、両手のカイトに対しサマエルは片手で持ったまま力で押さえつけられる。
「それに身体能力も俺の方が上。あのアルマとか言う男には馬鹿力があるが、お前は神器を持ったただの人間だ。
その神器と俺の相性は悪いが、他のあらゆる点においてお前は不利だ。」
カイトはフッと笑う。

「そんな事を説明して意味はあるのか?俺が不利なら戦闘を辞めるとでも?
お前が有利ならお前戦いから引いてくれるのか?」

サマエルは剣を持ち上げ、数歩下がる。
「ククク・・・面白い!全くその通りだ!
悪かったな。面倒だから降参して欲しかっただけだ。
だが理解した!この戦いは一対一!お前の神器は俺に効き、俺の攻撃もお前に効く。
同じ条件で『決闘』だ!強いものが生き残り、弱者は死ぬ。」
「良いだろう。俺が貴様を殺す。」
「フッ・・・来い!」
カイトは神器を振り水を撒き散らす。
サマエルは左手から溶岩を撒いて水を蒸発させる。
そして、発生した水蒸気を貫きカイトは神器を突き出す。
サマエルは神器を剣で弾き、カイトに斬り掛かる。
カイトは姿勢を低くして剣を潜って躱し、神器を突き出す。
サマエルは槍先を左手で掴んで止める。
「何!?」
「濡れただけなら意味は無い。」
サマエルは神器を手前に引っ張ると同時に剣をカイトへ突き出す。
「『水流壁』!」
神器から水が吹き出しカイトとサマエルの間に水の壁が現れる。
「この程度!貫いてやる!」
サマエルの剣は水流をものともせず真っ直ぐカイトへ向かう。
「『氷結』!」
水流が一瞬で凍り、サマエルの剣も止まった。
「『解除』!」
サマエルの剣の勢いを止めた瞬間に氷結を解除。また水流の壁が現れる。
カイトはその水流操り、サマエルを襲う。
サマエルも溶岩で蒸発させようとするが、完璧には出来ず所々濡れてしまう。
「『槍術 乱刺槍』!」
カイトは『魔装』を腕に集中。腕の身体能力を爆発的に上昇させる。
それにより一瞬の内に十数回、神槍でサマエルを貫く。
濡れた箇所を的確に貫き、サマエルの身体から血が流れ出す。

「グッ・・・・・・ぬぅ!!」
サマエルは足を踏みしめ、堪える。そして、剣を振るう。
「何だと!?」
カイトは剣を神器で受け止める。『魔装』で強化していた為受け止められた。
しかし、サマエルは左拳でカイトの腹
を思い切り殴る。
「ガハッ!!」
当然、腹部の『魔装』も腕に回していた為防御力が落ちていた。
前のめりになったカイトの首をサマエルが掴み、持ち上げる。
「しまっ───!」

サマエルは剣でカイトの胸を貫いた。



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