天魔界戦

皇神凪斗

第26話 事態一変

「ぐッ・・・厄介な男だ。」
メタトロンはロキを相手にかなり手間取っていた。
「あのまま倒してくれると有難いんだけど。」
「正直、それは難しいでしょうね。いくらロキでも身体能力と魔力量が上の相手に勝つためにはそれなりに準備が必要です。
でも戦場で準備なんて出来るはずもないので。」
ロキは終炎で全身と魔剣を覆いメタトロンへ斬り掛かる。
メタトロンは光の槍で魔剣を防ぐ。
終炎と光の槍は相殺し、互いの武器が削れていく。
「面倒だな。」
メタトロンは光で網を作りロキに絡ませ、大きく離れる。
「『神の裁きを』」
メタトロンの正面に大きな魔法陣が現れる。
「!?・・・なんて魔力だ!デカい一発が来る!」

「まずは一人。」

ズシュ!と不快な音が響く。
「な、なぜ貴様が!」
背後から大きな剣が貫いていた。
『メタトロン』を。
その後ろには『天使』が一人立っていた。

「・・・何だ?」
ロキも突然の光景に正気を取り戻し、冷静にそれを眺めていた。
「あ、あいつはまさか!」
サマエルと戦っていたアルマがその天使を見て動揺する。
「何故貴様が裏切る!?

『ミカエル』!!」

メタトロンを後ろから貫いたのは天界で牢屋に入っていたはずの四大天使ミカエルだった。
「多くの仲間が私の目の前で殺されて・・・
私は気づいたんだ・・・メタトロン。
仲間を殺されないためには・・・

『自分の手で殺せばいい』

仲間がいなければ殺されることも無い!」
ミカエルは剣を引き抜こうとするがメタトロンは刃を掴み、抵抗する。
「や、やめろ!!」
「これで私は・・・仲間を救える!」
ミカエルが剣を引き抜くと同時にミカエルから黒い魔力が爆発するように溢れ出す。
「アルマ!」
「あぁ!」
ロキに呼ばれ、アルマはサマエルから離れミカエルの前に飛んでくる。
「おい!俺から逃げんのかよ!」
「いや、お前は俺一人で充分だと言う事だ。」
「舐められたもんだなぁ?」
サマエルの前にはカイトが立ち塞がる。

黒い魔力が晴れ、ミカエルが姿を現す。
それは見た事が無い姿。白かった羽は黒く染まり、身体さえも黒く。
右手には黒く細い剣、左手には黒い盾を持っていた。

「さあ、私と遊んでくれ。」


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