天魔界戦

皇神凪斗

第25話 残るは

「くっ!」
サマエルは神槍の水に押しつぶされ動けない。
「終わりだ!」
カイトはサマエルの胸へ向けて神槍を突き出す。
神槍は水を裂き、サマエルの胸に突き刺さり貫く。
「ぐわぁあああああ!!!」
サマエルは大きな叫び声を上げた後、ガクンと首を落とし動かなくなる。
「これで残るは・・・。」
アルマとカイトは悪魔の軍勢を指揮するベリアルを睨みつける。
離れていても分かる。ベリアルはサマエルより明らかに強い。
仲間が天使軍のメタトロンに苦戦してる為、加勢したいがあの悪魔を放置は出来ないだろう。

「クックック・・・。」

「?・・・だ、誰だ?」
「ククククク・・・アーハッハッハ!ハーハッハッハッハッハッハ!!」
急に笑い声を上げたのは『サマエル』だった。
「カイト!そいつはまだ死んでねぇ!」
「何だと!?」
その時、カイトは目撃した。神槍は貫いたのでは無く。サマエルは身体を『溶岩に変え』胸を貫かれたように変形しただけだったと。
「甘いんだよ!ただ神器で貫いただけで俺を殺せると思ったのか!?」
サマエルは全身を溶岩に変え、四方に触手の様に伸ばす。
「!!・・・逃がすか!」
カイトは溶岩を神槍で切り刻むが手応えは無かった。
溶岩は伸び、広がり、跳ねて面積を増やす。面積が増える事にサマエルの場所は分からなくなる。
「早く対処しなければ手がつけられなくなるぞ!」
「んな事言ったって、何処にいるかなんて分かるかよ!」
アルマは『光魔』で大剣を作り出す。それを溶岩へ向け投げつける。むやみやたらに投げつけるが、一向に手応えは無い。
「こいつはやべぇな。」





「さっさと死ね!」
ロキはメタトロンを切り付ける。しかし、浅い傷しか付けられずメタトロンは槍を振り回す。
ロキは槍を捌きながらメタトロンを何度も切り付ける。
「その程度、いくら喰らおうと問題は無い。」
ロキが暴走するようにメタトロンに襲いかかっている為、周りへの被害は少ない。しかし、いつになっても勝てる気配は無かった。
「加勢したい所ですが・・・。」
「あれでは逆に邪魔をしてしまいそうです。」
「結局、僕は彼等アルマとロキに頼るしか無いのか・・・。」
「・・・任せましょう。ロキは必ず勝つと信じます。
私は他の天使や悪魔を倒します。」
それは賭けだ。もしこの場を離れてしまえばメタトロンがロキに勝った時、助けに行くことは出来ない。かと言って優勢とは言えない戦況を指をくわえて見てる訳にも行かない。

「そうだね・・・僕は僕に出来ることをする。」


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