天魔界戦

皇神凪斗

第9話 魔刀 骸苦髏太刀

「・・・クソ人間が!」
ラファエルはロキと距離を保ち視線を外さない。
「(何故だ?何故斬られた?
魔法を使った気配は感じなかった・・・と、すればまだ明かしていない能力があるはず・・・。)」
ラファエルはロキの持つ二本の魔具を見つめる。
「(魔剣レーヴァテイン・・・あれは元々天界にあった神剣だ。馬鹿な神が盗み出した事で魔剣と化し、新しい力を得たのか?
いや、怪しいのはもう一本の魔刀。確か刃を分裂して刀を増やす能力だったが・・・やはりレーヴァテインに比べれば見劣りする。更に力を隠している可能性はある。
どんな能力かはまだ掴めていないが俺の視界の外で使ったという事は隠して使いたいはず・・・つまり、こうして距離を取って戦えば使わないだろう。
そうだ!使わなければどんな能力だろうと関係無い!)
『神風』!」
ラファエルが空を斬るように腕を振るとロキに向かって風の刃が飛ぶ。
「『終炎』!」
ロキは左腕から出した『終炎』を両手の魔具に纏わせる。そして風の刃を相殺する。
しかし、それでは終わらない。ラファエルは次々と風の刃を飛ばしロキの接近を防ぐ。
「ハッハッハッハァッ!!動けなければそれでいい。あの女シャールが下級天使に嬲り殺された後、じっくり追い詰めてやるさ!」
「そうはさせません!」
シャールが天使の攻撃を掻い潜りながらラファエルへ向けてナイフを投げる。
ラファエルは『神風』を腕に纏い、ナイフを弾く。
「目障りな女だ。」
その行動にイラついたのかラファエルはシャールを睨みつける。
「!?」
だが、その自身が目線を逸らした事にラファエルの背筋に悪寒を感じる。

「『剣技 死桜しざくら』!」

一瞬だった。ラファエルがシャールからロキへ視線を写す一瞬に剣が舞う。
ラファエルがロキの姿を捉えたと同時にラファエルの全身から血が吹き出す。
それは身体を枝、血を花と見立てた剣技。
「チッ・・・やはり硬いな。天使の身体は。」
血は吹き出したものの、一つ一つの傷はとても浅かった。
「クッ・・・この虫けらがァッ!!」
「『剣技 朧月』!」
「何!?」
攻撃しようとした瞬間に反撃されたので咄嗟にラファエルは向けられた魔刀を躱す。
冷静な状態なら下がって躱すはずが、ロキの策略にハマる。
よってラファエルはもう一度背中を斬られた。
「ガハッ!」

「感情に振り回されすぎだ。四大天使が聴いて呆れるな?」


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