天魔界戦

皇神凪斗

第6話 四大天使 ガブリエル

落ち着いた口調で話すその天使は女性の天使で、天界軍のやや下がった位置に陣取っていた。
神器を用いたメルの魔法を止めたり、最前線にいない事から魔法に優れた天使だということが分かる。
「ガブリエル!デカいのはまだ撃たなくていい。まずこいつロキを黙らせる!」
「ガブリエル!?・・・という事はあなたが四大天使なんですね?」
「私にその言葉に似合うだけの力はありませんが・・・主よりの使命、果たさせていただきます。」
「・・・・・・あなたは自分の行動人類の殲滅に疑問を持ってますよね?それなのにどうして戦うんですか?」
「我らは主の力で産まれた存在・・・貴方も親の言いつけを守るでしょう?それと同じ事です。」
「そんなのおかしいです!子供にも意思あります!自分の意思に反してまで言いつけを守る事はありません!」
「それでも・・・私は戦います。」
ガブリエルは手を広げる。メルとレイジも『ウイング』で飛行しながら杖を構える。
「『神水しんすい』」
ガブリエルの手のひらから放出されたのは水。しかし、その水は重力に引っ張られることは無く。真っ直ぐと目の前のメルとレイジを押し流す。
「何だこの水は!?・・・魔力が吸い取られている!」
不自然に真っ直ぐ流れる水からレイジはメルの腕を掴み横へ飛び出す。『ウイング』の翼も『神水』に吸収されていた。
「お、落ちちゃう!『ウイング』!」
なんとか落下中に魔法を発動し、飛行する。
「ロキ君から聞いた、ウリエルの炎やラファエルの風みたいに四大天使特有の力なんだろう。だとすれば、神器で対抗するしかない!」
「そうは行きませんよ・・・『光雨』!」
ガブリエルが唱えると空に魔法陣。そこから現れたのは白い光の雨、しかし一つ一つが槍のような鋭さで人間達の身体を貫いていく。
「しまった!距離を離したのは遠距離から魔法を撃つためか!」
「『みんなを守って!』」
メルを中心に黄緑色の光が円状に広がる。それが降り注ぐ『光雨』を遮る。
「『轟雷槍』!」
レイジはガブリエルへ向けて雷の槍を放つ。
「『岩槍』」
ガブリエルは岩でそれを相殺する。
「あなた達も厄介ですね。先に倒させていただきます!」
「いいえ!私達は絶対に負けません!」

ガブリエルの照準がメルとレイジに定まる。


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