天魔界戦

皇神凪斗

第36話 助太刀

「ヒーローってのは遅れて来るもんなのさ。」
この天界において、人間に味方をする者など一人しかいなかった。
しかし、居ると知っていながら助太刀に来るとは予想出来なかった人物。
「ようやく見つけたぞ───

アルマ!!」

「よっ!なんかカイトもメルも雰囲気変わったか?」
「良かった・・・生きてた・・・。」
シャールはクスリと笑う。
「ロキはアルマ君が近くにいると分かっていたんですね?」
「あぁ、だから適当に時間を稼げばそれで良かったんだ。」
「どうしたんだ?ロキ、珍しくぐったりじゃねーか?」
「俺は十分に楽しんだんでな。残り物はくれてやる。」
天使達も動き出す。
「『個体名アルマ』を確認。『ロキ』と共に排除する。」
「悪いがそいつは無理な相談だ。」
天使達は魔法陣を展開。アルマを狙う。
「『滅却光』」
巨大な光の柱が数本アルマめがけて放たれる。
「『光魔の盾こうまのたて』!」
アルマの天使の左腕から飛び出した練磨が大きく白い盾を形成し、それらを全て防ぐ。
その瞬間にアルマの背後に回った天使が剣を振り下ろす。
「『白輪はくりん』!」
白色の練磨がアルマの『人間の右腕』に絡みつき、文様を刻む。
背後から振り下ろされた剣をその右腕で防ぐ。
すると、無傷で天使の剣を弾く。
「お!良いもん持ってんじゃねーか。」
天使の持っていた剣を右手で掴み、『白輪』で強化した右脚で天使の腹を蹴飛ばす。
「ぐおぉぅぅ!!」
何の構えもなく放った蹴りだったが、予想に反して天使は凄まじい速さで吹っ飛んでいった。
そして、アルマは奪った剣で近くにいた天使を倒していく。
「接近するな!遠距離から魔法で仕留めるのだ!」
「おいおい。随分と臆病だな?『天鎖てんさ』!」
アルマが左腕を突き出すと、突如鎖がグワッと実体化する。
それはいつの間にか天使を捕らえていた。
「攻撃の解析不能。切除不能。」
「さっきの魔法の時か!こちらの魔法に隠して鎖を伸ばしたな!」
「正解だ!おらよ!」
後ろで指揮をしていた天使を除いた全ての天使が鎖で捕まり、文字通り振り回される。
ぐるぐると回ると、鎖が一つに固まり天使が一点に集まる。
アルマは鎖を上に投げる。
「ここだ!」
今度は鎖が消える。それと同時に、アルマが天使達の傍に瞬間移動する。
ようやく解放された天使だが、振り回された反動でまだ体勢を崩していた。
「『剛剣技ごうけんぎ 断絶』!!」
アルマは両手で剣を握り、一閃。
天使達は全員真っ二つになる。

「ば、馬鹿な!」
指揮をしていた天使は狼狽え、背を向ける。
「応援を呼ばなければ!」
「逃がさねぇぜ!」
アルマの靴裏に魔法陣、それを強く踏みつける。
すると、強くバネのようにアルマを弾き飛ばす。
白い光がアルマを包むと共に超加速。
天使が背を向け、逃げようとした瞬間にはすでに追いついていた。
「『シューティングスター──────
魔力を右腕に集めつつ、そのスピードを全て拳に乗せて。
インパクト』!!!」
天使の背中に叩きつける。
天使は逆くの字に折れ曲がったと思うと、腹に大きな穴を開け瞬時に光となり散っていく。


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