天魔界戦

皇神凪斗

第24話 レミアールの真価

「行く先々で戦いか。まともにスイーツも食っていられんな。」
「スイーツ?もう少しまともな冗談は言えないのですか?」
レミアールはロキに対してかなり敵意を向けていた。
「ゼツ。貴方は逃亡者ですね。
行方不明になったロキがこのタイミングで戻ってくるとは・・・。」
「俺も何も無ければ姿を現す気は無かった。
すまないが見逃してくれないか?」
「どんな理由があろうと貴方が沢山の人間を殺した犯人には変わりません。
そう言った人間を捕まえるのが、私の役目!」

「・・・お前は知っているのか?アルマが天界に行ったことを。」
「!!・・・何ですって?
お姉様!?」
セレフィはしっかりと頷いた。
「えぇ。しばらく前ですが。彼を天界へ送りました。」
「・・・何て事を!」
メルが歩み出る。
「レミアールさん!私達にアルマ君の救出に行かせて貰えませんか!?」
「許可できません。今の状況で行けば確実に死にますよ?
それに、アルマさんが生きている可能性が低いです。」
「おい!そんな言い方ねぇだろ?」

「アルマなら生きている。」
ロキは断言する。
「俺は魔界に行き、生きて帰ってきた。
俺に出来て、奴が出来ないとは言わせない。」
「それなら、救助に行く必要も無いのでは?
余計に犠牲者を出すリスクが増えるだけです。」

ロキの顔から笑みが消える。
「・・・・・・貴様の許可など初めから聞いていない。
・・・俺の邪魔をするなら・・・殺すぞ?」
レミアールは剣を構える。
「どの道、貴方には牢へ入って貰います。」
「そうか・・・。」
ロキの左腕から禍々しい魔力が飛び出す。
「・・・消えろ!」
「ロキ!待って!」
レミアールは目を瞑り、深呼吸する。
黒い悪魔の魔力は炎や風のような形を持たず、何もかもを飲み込むかの如く迫っていた。
「私は・・・悪にはもう屈しない!
『ロンギヌス』!」
レミアールの持つ剣にどこからともなく現れた光が纏わり付く。
それは次第に大きくなり、形状を変えていた。
光を振り払う様に構え直す。
「『共鳴』!!」
レミアールの髪が金色に染まっていく。そして僅かながら光っていた。
持っていた『剣』から光が離れると、『槍』になっていた。
槍からは金色の魔力が溢れていた。
「・・・今なら出来る!
エル・ジャッジメント聖なる神槍の裁き』!!」
背後に現れた魔法陣から放たれる光の柱に乗せて、レミアールは『神槍』を投げる。
それは悪魔の魔力を吹き飛ばし、ロキの首目掛けて真っ直ぐ飛んでいく。
「ほう?」
ロキは笑った。新たな強敵を見つけた事で。
そして、
『神槍』はロキの首に───────

────────刺さらなかった。
「ちょっと。レミーも落ち着きなって。」
『神槍』を止めたのはミレーネとセレフィだった。
二人で両脇から槍の柄を掴み、止めていた。
「「・・・・・・・・・。」」
周りは騒然としていた。本当にどちらかが死ぬんじゃ無いかと誰もが思っていた。
「・・・痛っ!」
二人の巫女は弾くように『神槍』を離す。
掴んでいた手は手の形を留めているも、無惨な事になっていた。
「・・・あっ!すみません。私に任せてください!」
メルはミストルティンを取り出し、二人の手に掲げた。
その間にレミアールが近寄ってきていた。
「お姉様方。何故止めたのですか?」
「レミア。貴方は聞いていないでしょうけど、今はアルマ君の力が必要なの。」
「?・・・どういう意味ですか?」
「アルマと一緒に、『禍憑カイン』って奴が来て色々話してくれた。
天使やら悪魔やらを止める為の作戦。私らも助けに行きたいけど、天使相手じゃあね。
こいつらが助けてくれるなら、それでどうにかなるかも知れないんだ。」
「なっ!犯罪者を信用しろと!?
この男はアルマさんを殺すかもしれないんですよ!」
「たった一人を殺す為に、危険の多い天界に行くのか?
もう少しまともな冗談を言ってくれないか?」
「それで・・・行ってくれるのですか?」
セレフィはロキに正面から目を合わせる。
ロキも笑みを消し、真剣な表情で答える。
「あぁ。俺、シャル、メル、カイトの四人だ。」
「・・・ん・・・私は・・・?」
ルルカはロキの服を引っ張る。シャールはその手を叩き落とす。
「貴方では力不足です。」
「あぁ、ゼツ。ルルカを使えるようにしておけ。」
「あいよ。ま、天使とやらとは戦うよりマシだな。」

「では、頼む。」
ミレーネとセレフィにより、四人は天界へ送られる。

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