天魔界戦

皇神凪斗

第19話 メルの戦い

ロキの攻撃を受けたバランがふらつきながらも立ち上がる。
「ほう。頑丈な奴だ。」
「その左腕、見た目だけじゃねぇみたいだな。
それに、俺の拳を止めたのは右手。奴の『魔装』による防御力の方が上だ。どうやら手加減は出来ねぇみたいだな。」
バランが両腕を掲げる。突如、その腕が激しく燃え上がる。
火が消えると、バランの両腕に赤い手甲ガントレットが装着されていた。
「奴も神器を持っているのか。」
バランはその腕を水平に並べる。するとガントレットの肘側、バランの背後へ炎が噴出される。
よってロケットの様に、バランの身体を押し出す。凄まじい勢いでロキへ突進してくる。
ロキは当然のようにそれをかわす。しかし、バランは即座に噴射を止め身体を反対へ向けて再噴射。
「避けているだけでは意味は無いか。」
「この拳は止められるか!?」




「「『魔装』!」」
メルとアカネは接近戦に備える。
メルは杖を棍棒のように振り回し、攻撃する。
アカネは杖を弾き、隙を見て弓をしまい短剣を二本取り出し両手に持った。
「!?」
アカネは片手の短剣で杖を受け止めながら、もう一つの短剣でメルを攻撃する。
「弓を持ってたから接近戦には覚えが無いと思った?私達はカインと一緒に『死神団』と戦った事もあるのよ。そこらのギルドとはレベルが違う!」
「くぅっ!!」
今度はメルが防戦一方になってしまう。
「やっぱり、魔法戦には自信あるみたいだけど接近戦はまだ素人ね。」

メルはロキの言葉を思い出す。




「まずは相手の動きをよく見ろ。戦いは攻めるだけが全てじゃない。
見ると言っても武器を持つ腕や足じゃない。身体全体を見るんだ。」
「どうしてですか?魔法なら魔法陣が出るし、剣だって腕の振りで分かるんじゃ・・・。」
「フッ・・・情報は多いにこした事じゃない。相手の身体の動きを隅々まで見て、癖を見つけろ。
自分より強い相手に勝つには、力ではなく知恵だ。」




アカネの猛攻にメルは反撃出来ずにいた。
しかし、アカネの攻撃は徐々に外れていくようになった。
「(どうなってるの!?どんどん動きが良くなってる。早く動きを止めないと私がやられる!)」
焦ったアカネは距離を取るメルを追いかけようとする。その時───
「!・・・何!?」
注意を怠ったアカネの足に樹木が絡みつく。
「しまった!」
「『枝縛り』!」
足の樹木が更に伸び、絡み付き四肢を縛り動きを制限させる。

「ハァ・・・ハァ・・・勝てた!」

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