天魔界戦

皇神凪斗

第16話 ノクターの天白ギルド

「お前、何故────」
「私、ルルカ。ハニーって呼んで。」
「断る。何故付いてきた。」
ルルカは少し俯き、小さな声で答える。
「『魔具』は危険。取り憑かれた私に、居場所が無い。」
「帰れないって事か。ロキ、お前が契約させたんだからお前が面倒見ろよ。」
「・・・俺の邪魔はするなよ。」
ノクターが目前に見えた。
しかし、ノクターの中から二人の人物がこちらに向かって歩いてくる。
一人は弓を持った女性。一人はかなりガタイの良い大男だ。
真っ直ぐロキを見据え近づいてくる。
「そこで止まりなさい。行方不明の大犯罪者がこの街に何の用?」
「お前達は天白ギルドの連中だな?『禍憑カイン』と言う男に会いに来た。」
二人は少し驚いて目を合わせる。
「お前さん。知らねぇのか?そいつならとっくに死んだ。」
カイトは小声でロキに話しかける。
「おい。天白ギルドの連中はあぁ言ってるぞ。
それに、奴らとやり合う理由も無いだろう。」
相手の女性がカイトを見て、表情を大きく変えた。

「ちょ、ちょっと!ブルーブラッド貴族血族の『あおい カイト』がなんでそいつと居るの!?」

「え?カイトさん・・・が、貴族!?」
カイトは特に焦る素振りも見せず、女性を見返す。
「お前に言われる筋合いは無い。『くれない アカネ』ブルーブラッドは同じだろう。そして、ギルドごっこなどして居れば尚更だ。」
「ごっこじゃないわ!あんたなんて貴族のくせに執事服着てるじゃない!」
「街を抜け出すのに、あんな派手でセンスの無い服を着ていくわけが無いだろう。他にこの服しか無かっただけだ。」
「くっ!・・・まあ、いいわ。その男と共犯してる以上死刑にされても文句は言えないわよね?」
そう言うとアカネと言われた女性は地面に手を叩きつける。
「な、何だ?」
ロキ一行の足元が、ドアのようにパカッと開き、落下させる。
その地面の下は土、では無く。全く別の空間だった。
自然は何も無く。魔力によって構成された床と天井が広がる空間である。
「『結界』だな。俺達を逃がさず、市民に被害を出さない為だろうな。」

「貴方達の望み通り、『禍憑カイン』に会わせてあげるわ。」

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