天魔界戦

皇神凪斗

第14話 新たな魔剣

スティルマからノクターへ向かう途中。
「前にも言ったが、天界にいる天使はここに来た連中より強いぞ。」
「あぁ。だがどういう理屈なんだ?」
「カインから聞いた話だ。
天使と悪魔、当然だが奴らは戦争状態だ。互いが有利になるように、力が増す結界を張っている。
魔界では俺の左腕は強化されたが、天界では弱体化する。
その為のお前達だ。」
その話を聞いて、ゼツは不思議そうな顔をした。
「だがよ。例えその腕を失ったとしてもお前が負けんのか?こっちに来た天使は相手にならないぐらいなんだろ?」
「攻めてくる天使なんて捨て駒だ。主力を使うのは本気で潰しに来る時だろう。
実際、魔界では負けた回数の方が多かった。」
「はい・・・逃げるのが殆どで。魔王に勝てたのも偶然と言っていいぐらいです。」
「・・・。」
皆、少し俯き冷や汗を浮かべる。

その瞬間、周囲を影が覆った。
頭上に現れた何者か、俯いていた為誰もが反応を遅れた。
その人物はメルの首元へ向け、大きな剣を振り下ろす。
しかし、その大剣は動きを止める。
「!!・・・何!?」
そこでようやく皆、飛び退き距離を取った。
大剣の下に添えられた刀、それを握るのはロキだった。
大剣を持った人物はロキを警戒し、大剣を構えながら距離を取る。
ロキとその人物を皆で囲むような形になる。
「ん?女?」
大剣を持ったのは、苦しそうな顔をした女性だった。
「何が目的だ?」
「そんなもの・・・ない。」
その大剣をロキへ向けて、思いっきり振る。
ロキは簡単に受け止め、弾いて体制を崩す。
転んだ女性の首元に切っ先を向ける。
「ロキさん!ちょっと待って下さい!」
「死にたい奴を殺すだけだ。お前も、人を殺そうとしたなら自分も死ぬ覚悟が出来てるんだろうな?」
「・・・私を・・・殺してくれるの?」
女性は意外にも、大剣を手放し両手を広げる。
「さあ・・・殺して・・・。」
ロキはその目を見た。

「ちょっと待った!!」
彼等を囲む輪の中に小さな影が潜り込む。
それは少年だった。走り、ロキの刀に掴みかかろうとするがロキは掴まれまいと刀を下げる。
「リル・・・邪魔しないで・・・うっ!」
《血を寄越せ・・・血を・・・。》
女性は頭を抱えて蹲る。
「!?・・・誰の声だ?」

「その剣だろうな。『魔具』だ。」

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