天魔界戦

皇神凪斗

第11話 経験

一同は食事を終えた後、誰もいなくなった訓練場へ戻ってきた。
「では、指南を始めようか。
まずはカイト。お前はゼツに教えて貰え。」
「俺より弱い奴に教わる槍など無い。相手をするならお前がしろ。」
「フッ、魔法を使った戦いならともかく。槍の技術はゼツには敵わないだろう。
俺と戦いたかったらゼツに勝つ事だな。」
「いいだろう!直ぐに終わらせてやる!」
カイトは怒りを表しながらもゼツと二人、戦う場所を確保する為に離れていった。
「メル。お前は魔法に長けてはいるが、戦闘経験が足りない。」
「そう言えば、ロキさんは強い魔法をあれだけ使えるし魔力量もすごい多いのに武器とかで戦いますよね。」
「・・・そうか。他人にはそう映るか。
答えるなら、魔法を極めたからこそだ。」
「え?」
不思議そうな顔のメルにロキは自信満々な笑みを浮かべた。
「魔法でも戦いの利点は、遠距離からの攻撃だ。これは分かるな?
なら、弱点は何だと思う?」
「・・・やっぱり接近される事、ですかね。私、そんなに身体動かないしアルマ君みたいに剣の打ち合いなんて出来ません。」
「ではもし、接近戦に対応出来たら?」
「それは凄いですよ!身体を鍛えた人が『魔装』なんて使われたら手も足も出ませんし・・・。」
「ならば、こちらも『魔装』を使えばいい。」
「私も?・・・もしかして!」
ロキはニヤリと笑う。
「そうだ。魔法を極めれば極めるほど、『魔装』による身体能力の向上が高いものになる。
それならば、接近戦にもある程度対応できるだろう。」
「・・・何だか、ロキさんが強い理由が分かったような気がします。」

「何を他人事みたいに言ってる。お前も習得するんだ。」

「・・・・・・え?」
メルの顔色が悪くなっていく。
「ムラサキに指南して貰っても良かったが・・・まあ、元々俺が相手をする予定だったから問題は無い。」
「いや、私に相手は無理ですって!!」
「大丈夫だ、流石に手加減はしてやる。
だが、俺は教えるのが得意ではない。お前が自分で掴んでくれ。」
メルはシャールに視線を送るが、ニッコリと笑顔を見せるだけだった。
「・・・なんでこんな事に・・・。」




カイトとゼツはとりあえず、一戦交えていたが。結果として、カイトは完封されていた。
「ぐっ!何故だ・・・!?」
「なるほどな。まあ、お前の歳のわりには出来るんじゃねぇの?
槍の使い方の基礎は分かってるみたいだし、多少なり実戦はしてるだろうからな。
だが、まだまだ実戦経験が足りねぇな。それに、必要なのは逆だ。」
「・・・逆?」
「あぁ、基礎はあっても・・・『それ意外の戦い方』がねぇ。」
「回りくどい言い方をするな。どういう事だ。」
「『人を殺す戦い方』さ。いいか?基礎ってのは大事だが、そんなのは相手も知ってんのさ。なんせ基礎だからな。
敵を殺すのに、敵が知ってる戦い方で挑むのは馬鹿だと思わないか?」
「今更、魔法を使って戦えと言うのか?」
「違ぇよ。いや、違っては無いな。魔法を使うのも良い戦い方だが、お前が知りたいのは槍の使い方だろ?
槍で違う戦い方を見つけろって事だよ。」

「別の・・・戦い方?」

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