天魔界戦

皇神凪斗

第3話 協力

「それは・・・どういう意味だ?」
「そのままの意味だが?」
カイトは再び、ロキに向かって槍を構える。
「やはり、アルマを拉致したのは貴様という事か!」
そこでシャールが割って入る。
「落ち着いて下さい!決してそう言った意味ではありません!ロキは言葉が不器用ですが・・・私達は『協力』をお願いに来たんです!」
「協力?一体、何をですか?」

「勿論、アルマ君を救い出す事に関してです。」

「!!・・・やはり誰かに捕まっているのか?」
「あぁ。細かい説明は後だ。まず、俺達に付いてくるか決めろ。」
「だが、天使達はどうする?こうしている間にも襲撃してくるだろう。」
「この周辺にいる天使なら俺が百体程倒してきた。動くなら今だ。」
「「!?」」
驚きつつ、カイトとメルは顔を合わせる。
「出来るだけ速く、アルマ君を連れ戻しましょう。」
「どの道、このままでは俺達が全滅してしまう。・・・信用して良いんだな?」
ロキは珍しく真面目な顔で頷いた。本当に深刻な状況だと言うことを察する。
「分かった。お前達に協力する。」




二人はとりあえずロキとシャールに付いていく事にした。スティルマの中を歩きながら詳しい話を聞く。
「天使は本当に大丈夫なのか?ただ一気に倒されたからと言って、何か変わるとは思えん。」
「奴らには俺の顔と力を見せるように戦ってきた。俺を倒す為に何か策を考え始めるだろう。
人間側は精一杯かも知れないが、天使にとっては急ぐ必要は無い。慎重でも確実に人間を滅ぼすつもりだろう。」
「それで、何処に行くんですか?アルマ君は何処にいるんですか?」
「『天界』と呼ばれる場所だ。」
「『天界』!?えっと、神様とか天使さんがいっぱいいる所ですか!?」
「それは何処にあるんだ!?」
「『何処』と言われて『あそこ』だ、と示せる場所じゃない。
言うなれば『異界』・・・俺達がいるここを『人間界』とすれば、『天界』は歩いて行ける場所では無い。・・・行く方法は心配するな。もう分かっている。」
シャールを先頭に付いていくように皆が歩く。
とりあえずは付いていくしかない二人。
「では、何故その『天界』とやらにアルマが居ると分かる?」
「まあ、俺が実際行く所を見た訳じゃないが・・・天使や『悪魔』の動きを察していた人間がいてな。そいつが、アルマを天界に行かせると行っていた。」
「!?・・・待て!何故そこで『悪魔』が出てくる!」
「奴らが何故『人間界』に侵攻しているかは知っているだろう?
アルマの『天使の腕』と俺の『悪魔の腕』を危険と判断したが為だ。
天使が動いて、悪魔は黙っているわけが無いだろう?」
「!!・・・そう言えば私達、悪魔と戦いました!現れた時には瀕死でしたけど・・・。」
「それは・・・ご無事で何よりです。すみませんでした・・・。」
「え?・・・何故シャールさんが謝るんですか?」
「私達も『魔界』に行ってきたんです。人間界に悪魔が現れたのも、私達の失態です。」
「何故魔界などに行ったんだ?今度は悪魔が侵攻してくる、なんて事は無いだろうな?」
「まあ、それが本来の筋書きだからな。
何もしなければ・・・。」
「天使と悪魔が同時に現れて、人間の大陸どころかこの星まで壊されそうです。」
「災害の程度は奴らの加減次第だ・・・。
話を戻すぞ。俺達が魔界に行った理由・・・これはアルマが天界に行った理由と概ね同じと捉えてくれ。
悪魔が恐れているのは『俺』だ。そんな奴恐れている相手が、いきなり自分の領土に現れて暴れだしたらどうする?」
「侵攻を中止して、身の守りを固める?」
「あぁ、魔王を殺した後身を隠した。暴れては身を隠すを繰り返す。これで、悪魔達は自分達も狙われていると、思い込む。」
「それで、悪魔の侵攻を遅らせた訳か。」

「・・・・・・・・・え?今、魔王を殺したとか言いませでした?」

「とは言っても一番弱い奴だ。流石に二人で無双出来るほど悪魔は弱くない。」
「一番?魔王と言うのは、一人じゃないのか?」
「人間の大陸で『王』は一人だけか?・・・まあ、そういう事だ。
とりあえず、役目を終え人間界に戻って来たら天使が大量にいたのでな。」
「アルマも役目を果たしているなら天使もいなかったはずが、この有り様・・・それで、アルマを救出に行こうと言う訳か。」
ロキはまた不敵に笑う。
「殺人集団のリーダーが人助けは意外か?」
「でも!・・・聞きましたよ。アルマ君を守る為に敵として現れたって。アーサーさんに頼まれたって。」
今度は不審な表情を向けてきた。
「・・・何故知っている?」
「アルマが聖剣の力を解放した時、天使から聞いたらしい。」
「天使か・・・まあ、いい。」
「長話はとりあえずここまでにして、着きましたよ。」
四人は『スティルマの管理政府本部』まで来た。

「え?なんでですか?」

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