天魔界戦

皇神凪斗

第43話 窮地

「オラオラオラァ!!さっきまでの勢いはどうした!?もっと振ってこいよ!!」
「くっ!!」
今まで以上のソルディの猛攻に、アレクは剣を盾にしながら後ずさるしかない。
「(どうすればいい?これだけ力任せに振り回しても全く折れる気配がない。これが『魔具』という物なのか?)」
攻撃を防いでいるとはいえ、少しでも体勢を崩せばその隙を付いて切られる。
腕や足は細かい切り傷だらけだ。大袈裟に振り回しながらも、アレクが最低限戦えるように手加減している。それだけの余裕がソルディにはあった。
「もっと楽しませろよ!!」
ソルディは両手で刀を振り下ろす。アレクは剣で受け止めるが、勢いで後方へ飛ばされる。
壁に叩きつけられ、地面に倒れる。
顔を上げれば、ソルディが刀を振り下ろす所だった。
避けながら、距離を取ろうとするが背中を切られる。
「うぐっ・・・やられっぱなしで、たまるか!!」
振り返りながら剣を振るう。ソルディは首を手前に曲げてそれを回避。アレクの脇腹を切りつける。
「!!・・・くらえ!!」
その痛みに耐え、アレクは剣を振る。
「これで、チェックメイト・・・だぜ?」
ソルディはその剣に合わせ刀を振る。
アレクは自分の目で目撃する。

その手の剣が折れるのを。

「!!」
「・・・そりゃそうだろ。あれだけ俺の刀を受けたんだ。良く持った方なんじゃねぇのか?」
アレクは刀身が半分しか無い剣を見つめる。
「あの嬢ちゃんに感謝して死んでけ。直ぐに後を追わせてやるよ。」
「ふざけるな!!」
ソルディの刀をアレクは折れた剣で受け止める。
「おいおい・・・面白い事してくれるじゃねぇか!!まだまだ遊べそうだなぁ!!」
「舐めるなよ!」
アレクは剣でソルディの刀を抑えながら懐に踏み込む。
その腹に肘をねじ込む。
「ごはっ!!」
更に、両手で刀を持つソルディの腕を掴み、足を払う。
背負うようにして、地面に叩きつける。
そのまま、ソルディの顔を思い切り踏みつける。
しかし、それは足を捕まれ阻止される。
ソルディは倒れた状態で片手を使いアレクの身体を投げ飛ばす。
その隙に立ち上がる。アレクも上手く着地し、体勢を立て直す。
「また格闘術か・・・。」
「お前の剣速じゃこっちの方がやり易い、でも剣が無ければ攻撃は防げない。
剣が折れて軽くなったから、少しは戦いやすくなった。・・・あまり気分は良くないがな。」
格闘術は身体を激しく動かす。傷から血が吹き出す。しかし、逃げる訳には行かない。

「絶対に任務は遂行する!」

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