天魔界戦

皇神凪斗

第42話 殺人衝動

振り上げた剣を、アレクはソルディに振り下ろす。
その時────
《お〜い。出来たよ〜。》
ソルディは焦る様な表情から、やる気に溢れた顔になった。
振り下ろされる剣に、がむしゃらに掴みかかる。
手の平を斬りながらもアレクの剣を止める。そのまま、地面に叩きつける。
「何!?」
アレクも剣に引っ張られる。ソルディはその隙にアレクの後ろへ回り込み、悪魔へと走り出す。
「!!・・・させないわ!」
ドロシーは悪魔に向かって手を向ける。魔法を使うつもりだ。
《ちょっと邪魔だよ。》
悪魔はドロシーに人差し指を向ける。
すると、ドロシーの身体は浮かび、後ろの壁に磔にされる。
悪魔は反対の手の指をクイッと曲げると、『それ』がソルディに向かって飛んでいく。
そして、ソルディは『それ』を掴む。
「これは・・・『刀』か?」
《うん、どうやら『魔刀』が出来たみたいだね。》
「まあ、いいさ。これで・・・!!」
ソルディが『魔刀』の柄を握る、その瞬間ソルディは固まる。
アレクは剣を持ち上げ、構え直す。
「間に合わなかったか・・・!」
ソルディは刀を引き抜く。その時、周囲の空気が荒れる。
アレクは背中越しでも、それを感じていた。
「何だ・・・この冷たい風は!」
「分からねぇ・・・この刀を抜く事が恐ろしい。
だが、恐ろしいが何故か俺は、この先を知りたくてしょうがねぇ!!
恐怖よりも、この刀を振るいたいという欲望に!!
この刀が人を斬ってくれって誘惑してきやがる!!」
「刀を抜く前に!!・・・斬る!」

「おせぇ・・・。」

一瞬。風が荒れる中、一瞬と表現される時間で。
ソルディは刀を引き抜き、アレクの剣をくぐり抜ける。
「!!」
アレクの脇腹から血が飛び出でる。
「良い感触だ・・・斬った瞬間に刀から悦びが伝わってきたぜ。」
アレクはソルディの背中から斬り掛かる。
しかし、両手で振った剣をソルディは片手で持った刀で受け止める。
「その見た目で重さは同じなのか!?」
『魔刀』はアレクの持つ剣の半分程度しか厚みが無い。それでも片手で受け止められてしまう。
「(それを片手で・・・パワーもスピードも上がっている!!)」
「次・・・行くぜ!」
ソルディは容易にアレクの剣を弾く。そして、無防備な胴を斬る。
アレクは痛みに耐えながら距離を取る。
「おい!逃げるんじゃねぇ!!」
それ以上のスピードで、ソルディは追い掛けてくる。
アレクは攻撃を防ぐことしか出来ない。重さが同じでも、手数が違うので簡単に圧倒されてしまう。

「ハハハハハ!!アーハッハッハッハッハ!!!!」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品