天魔界戦

皇神凪斗

第34話 嫌な予感

アレクとクレイスの様子を影から見ている者達がいた。
男はアレクの動きを見て、目を見開きニヤリと歯をむき出しにする。 
「おいおい・・・ありゃ本物強者だぜ・・・!!
楽しみだなぁ・・・。」
一緒にいた女はそれを肯定する。
「当たり前よ。彼は間違いなく最強の騎士。」
「でもよぉーなんか変だったぜぇ?剣の扱いに慣れてねーつーか、初めて持ったーみたいな?」
「あの速度で見えてたの?・・・まあいいわ。
それはね────

─────私が少し弄ってきたの。
ちょっと邪魔になりそうだから。」




「地雷式の魔法札・・・厄介だな。」
そう言うと、アレクは剣を引き抜く。この剣であれば魔法札をただの紙へ変える事が出来る。
そのはずだった。
剣を当てる瞬間、アレクは何かを察知した。
ビリッ、と剣は魔法札を貫く。すると、その魔法札が光り出す。
「何っ!?」
アレクはその瞬足で後方へ飛ぶ。
直後に爆発音と爆風。何とか回避することに成功した。
「どうなっている・・・!?まさか・・・!」
アレクは、今日回収した魔法札を一枚取り出し、剣の刃に触れさせる。
本来なら、魔法陣が消滅するはず・・・しかし、何も起こらない。
「能力が失われている・・・!?」
原因は一つしかない。
「あいつ!イタズラにも程があるぞ!」
だが、イタズラにしてはやりすぎだ。これまで、子供のようなイタズラをしてきた事はあったが、怪我する程の事はして来なかった。
調整して失敗したか?とも思ったが、これまであの天才が間違いをしてきた事など見たことが無かった。
「何か、いやな予感がするな。」




一通り仕事を済ませる。魔法札を無力化出来なかったが、依頼を急いで終わらせることで日が変わる前に城へ戻ってくることが出来た。
「あ!アーサー!!おーい!!」
城の中で小さな男の子が手を振ってきた。
「グラン!一つ聞きたい、ドロシーを見かけなかったか?」
「ドロシー・・・じゃなくてドロシー姉さん?なんか最近は全然見なくなったなー。どうかしたの?」
「いや、見てないならいいんだ。すまない、急いでいてな。」
ドロシーの仲間の研究員にも話を聞く事にした。
「ドロシー?あぁ、最近あんまり見なくなったな。昨日まではほんの数分くらい何かを取りに来てはいたけど、今日はとうとう一回も見なかったよ。」
「分かった。時間を取らせてすまない。俺はこれで・・・!」
「あぁ、ちょっと!焦ってるみたいだけど、あんま心配しなくていいと思うよ?」
「?・・・どういう意味だ?」
「こういう事たまにあるんだけど、それって何かいい研究材料が見つかった時なんだ。今回みたいに姿を全然見なくなることは無いけど、時々一人で何処かに篭って研究してたりするんだ。
だから、あまり気にしなくても。」
「・・・・・・そうか、わかった。」
城の廊下を歩きながら考える。
「本当に、そうなのか?」
アレクはあの剣を分解した事など無い。もしかしたら、重要なパーツが入っていて、それを取り出したからこうなったのか?とも考える。
しかし、やはり勝手に剣に手を加え、姿を消した意味が分からない。
何故か、それだけでは無い気がした。

する事をした後、ベッドに横になると簡単に眠れてしまった。

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