天魔界戦

皇神凪斗

第31話 発展途上国

魔法を斬る剣を持つアレクの前に、男達はナイフへと手を伸ばす。
しかし、アレクはその隙を逃さない。
地面を強く蹴り、男達に接近。ナイフを掴んだその手首を切り付ける。
男達は、突然の痛みにナイフを放り投げる。その隙に、アレクはその首を落とす。
剣を振り、血を落とす。流れるような動きで腰の鞘に剣を収める頃、男達のナイフが地面に落ちる。
アレクは、ポケットから電子デバイスを取り出し電話を掛ける。
「アレクだ。死体の処理を頼む、場所はC区画6224。では、次の任務へ移る。」




この国では魔法が生まれたばかり、実際に魔法を使える人間が存在するものの、たった数人。
そこで、魔法を生み出した『原初の魔女』はどんな人間でも簡単な魔法を使うことの出来る『魔法札』を作り出す。
しかし、謎な存在である『魔法札』は高く売れる。賊達は、その強奪を主に狙っていた。
そこで『原初の魔女』は『魔法札』の魔法を無力化する剣を作り、最も優秀な騎士一人だけに渡した。




皆が寝静まり、月も折り返し始めた頃。ようやくアレクの仕事は片付いた。
王城に向かっていると、一人の青年と会う。
とても小柄だが、優秀な騎士の一人だ。
「お、『無敗のアーサー』殿!お疲れ様で〜す!」
「キッド・・・同じ部隊のやつくらい普通に呼んでくれないか?」
「ヘヘッ、悪い悪い!でも、結構嬉しいんだぜ?仲間を『英雄』みたいに呼ばれんの。」
キッドは爽やかでいつも笑みを浮かべているが、とても真面目で同じ部隊の仲間アレクが働いているからと言って、無理に任務を受け遅くまで仕事をしている。
「ほらよ。今日は結構多かったぞ。」
アレクは、賊から取り返した『魔法札』をキッドへ手渡す。
「これ、矢に巻き付けて飛ばすんだろ?」
「おー!ありがてぇ!!極力使わないようにしてるけど、これ高いからな。ほんと助かるわ。」
二人で王城に歩いていると、キッドが一つの話題を持ち出す。
「そういや今日も見なかったな。『首刎ねの殺人鬼』」
「これだけ被害が出ているのに、しっぽすら掴めないとは。相当な実力と、逃げ足を持っているんだろうな。」
「一番厄介なパターンだよねこれ。戦っても強い奴が奇襲して逃げてくなんてさ。」
「まあ、とりあえず・・・朝から仕事なんだ。少しでも寝よう。」

王城に着いたので、二人は騎士の自室へ戻る為別れた。

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