天魔界戦

皇神凪斗

第28話 天使の軍団

天使は人間に比べ、力も魔法も遥かに上だった。
しかし、複数人で隙をつき、長い時間をかけて倒していく。
それでも人間側の方が消耗が激しい。隊長格の天使は疲れもなにも見えてこない。
「力を貸せ!!『ファフニル』!!」
グランがそう叫ぶと、身体や、神器である左腕の表面に『岩』が包んでいく。
見る見るうちに全身を覆い、『岩の鎧』が完成する。
「うおらぁ!!」
グランは天使を踏み台にして、次の天使に殴り掛かる。
「グランのやつ。あれほど岩を纏ってるのに、パワーもスピードも桁違いだ。
神器の力じゃなく、グラン自身の戦闘能力なのか・・・!?」
それを見ていた隊長格の天使は一人、高く舞い上がる。
「無駄な抵抗を・・・全員、滅ぶがいい!!!」
天使が手を広げると、空にいっぱいに魔法陣が広がる。
「!!・・・何か強い魔法が来る!!」
「させるかよ!!」
グランは飛び上がろうとする。しかし、周りの天使達がそれを阻止する。
「どけ!!そこにいたらお前らも巻き添えだぞ!?」
「・・・任務の為なら。」
「・・・死も厭わない。」
「こいつら・・・狂ってやがる!」
魔法陣が光を放つ。
「さらばだ、人間。」
グラン達の視界が光で覆われる。
何とも言えない恐怖が人間を襲う。

「『聖剣 エクスカリバー』!!!」

一瞬、たった一瞬で光は散り青い空が視界に写る。
その中心に、一人の男。
「あの剣は!?」
「いや、違う?彼は・・・?」
「『蒼炎龍』!!!」
驚く間もなく、天使達に蒼い炎が襲いかかった。
次々と天使を飲み込み、燃やし尽くす。
「え?・・・ルーズさん?」
「ちーっす。ヒーローは遅れて登場ってね。」
「ぼ、僕もいますよ!メルちゃん。」
「あ、サリム君!久しぶりです!!」
「お前ら気を抜くな!!まだ天使は残ってるぞ!!」
残りは隊長格のみ。しかし、その天使には聖剣を手にした男が、飛びかかる。
「貴様!!邪魔をするな!!」
「へっ!それじゃあ、俺達の『生きる』邪魔をするんじゃねぇ!!
『魔剣 ベルセルク』!!」
男の手に、剣が現れる。その禍々しい剣の刃には、魔力の牙が生え、グルグルと刃の周りを回っていた。まるでチェーンソーのように。
「おらよ!!」
「ぐおおおお!!!」
聖剣と魔剣の二刀流で見事に天使を三枚におろした。
天使達は光となって空に消えていく。

人間は何とかこの戦いを凌いだ。

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