天魔界戦

皇神凪斗

第22話 悪魔の実力

「ガアァァァ!!!」
悪魔が大きく口を開けて叫ぶ。それは禍々しい波動となって、空気を押す。
レイジの『轟雷槍』はその波動でかき消されてしまった。
さらに、威力は弱まることを知らず、三人を弾き飛ばす。
「悪魔・・・常識外れの馬鹿力に、強力な魔法・・・まさに化け物という訳か!」
「一筋縄じゃ行かないね・・・一旦解散して彼を囲もう。相手は一人で重症・・・持久戦だ。」
「りょ、了解です。・・・『金剛樹』!!」
メルの足元から黒い樹木が伸びる。
「あぁ・・・!?」
うねうねと動き、悪魔に絡みついていく。
悪魔は解こうとするが、樹木はしなって力を何処かへ逃がす。
両手両足を捕まえてしまえば、かなり動きを制限することが出来る。
その隙に、カイトとレイジは移動。三角形の形で悪魔を囲う。
「くらえ・・・!!」
カイトはその手の槍を投げる。槍は悪魔の身体に突き刺さると、吹き出す血と共に背中を凍らせていく。
「ぐぐ、うぅぅぅ・・・。」
「?・・・どうして急に大人しく・・・。」
その時、正面にいたメルは悪魔の腹の辺りに橙色の光が集まっているのが見えた。
「!!・・・離れて下さい!!」
メルは杖に魔力を込める。そして、『金剛樹』は悪魔を隙間なく覆い尽くし、球状になる。

「『滅・焦土』!!!」

空気が揺れ始める。
「まさか、こいつ・・・!?」
「まずい!・・・『ライ────
激しい爆音とともに、視界は炎の色で埋め尽くされる。その場にいた者は、目を瞑ることしか出来ずにいた。
爆発の衝撃で吹き飛ばされ、十数秒浮いているような感覚が続き、次第に地面を転がり始める。
痛みを感じない程の衝撃だった。

いつの間にか地面に伏していたカイトはじわじわとくる痛みに耐えながら、起き上がろうと足掻く。
悪魔は荒い息遣いで立ち尽くしていた。
「・・・ハァ・・・ハァ、オレのホノオをオサえるとは!ハァ・・・ハァ・・・まだだ!!まだまだコロしてやる!!」
カイトは体の所々から溢れる血を見ながら、手足がある事を確認する。
「?・・・思ったよりダメージが少ない・・・メルが神器を使ったのか・・・。
それにしても、あの悪魔の人間に対しての執拗な怒りは何だ?
・・・いや、今は奴を倒すことに集中しろ!」
「まだイきていたかっ!!ヒきサいてやる!!」
「くっ!!・・・レイジ!メル!死んでいないんだろうな!?」
地面から立ち上る黒い煙で悪魔しか目に入らない状況だ。まずは仲間の安否を確認する。
「メルちゃんのおかげかな・・・まだ戦えるよ!!」
「私、も!!大・・・丈夫、です!!」
やや苦しいメルの声がした。あまり無事とは思えない。
「ウオオォォォ!!!」
二人の声が聞こえたものの、悪魔はカイト目指して一直線だ。

「貴様こそ、蜂の巣にしてくれる!!
『氷纏 右腕・氷槍』!!!」

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