天魔界戦

皇神凪斗

第21話 血だらけの翼

その頃、レイジとカイトとメルは任務帰りに思わぬ者に遭遇していた。
「・・・何だ・・・こいつは・・・!!」
三人の前に突如現れたのは、人型の生物だ。
しかし、肌は真っ黒な上、全身に付けられた無数の傷から流れ出す血は赤紫色。
天使とは違い、背中についているのはコウモリに似た翼。
頭部にはねじれた角が二本生え、荒い呼吸から見える口の中の歯は全て尖っている。
「ニン・・・ゲン!!・・・・・・コ、ロす・・・コロす!コロす!コロぉぉおす!!」
そう、まるで悪魔その物だった。
「ど、どうしてこんな所に悪魔が・・・!?」
「考えるのは後にしよう・・・相手は敵意を向けてきている。
それに、傷だらけの今なら僕らでも抑えることが出来るかもしれない。
慎重に・・・逃げることも考慮しながら戦うんだ!」
「・・・・・・相手が逃がしてくれるとも思えん。
それと、俺はどうでも良いが、この街中じゃかなりの被害が出るんじゃないのか?」
「はい!・・・逃げることなんて、出来ませんよ!!」
悪魔は息を荒くしながら、三人に向ける殺意の眼光は弱くなることは無かった。
「コロぉす!!コロすコロすコロすコロすコロす!!!!」
悪魔は走りだす。血をばら撒きながら真っ直ぐ向かってくる。
「ご、ごめんなさい・・・『リーフ・バレッツ』!!」
メルの手に現れた魔法陣。そこから舞い散る木の葉が束となり、悪魔へと放たれる。
「『獄火炎』・・・バアァァァ!!!」
悪魔の口から、凄まじい熱気を放つ炎が吐き出される。
木の葉は焼かれながらも、数枚が炎を通過し悪魔の身体を切り裂く。
しかし、炎も三人に向かってきている。
「『氷壁』!」
カイトの前に大きな氷が現れる。それにより、炎を完璧に防ぐことができた。
「レイジ!!」
「了解!・・・『ライジング』!!」
レイジは思い切り、その氷壁を蹴り飛ばす。
異常なまでに硬い氷の塊が悪魔へと飛んでいく。
「ウうぅ・・・。」
悪魔は片手を振り上げ、氷に向かって振り下ろす。
すると、その氷はまるで紙くずのように軽々と引き裂いた。
「くっ!・・・どいつもこいつも、簡単に割ってくれる・・・。」
「だったら・・・『轟雷槍』!!」
眩しい程の光を放つ槍状の雷を悪魔へ放つ。

「しつ、こい・・・ぞ!ニン・・・ゲン!!!」

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