天魔界戦

皇神凪斗

第11話 管理政府にて

ルーズが支部に戻ると、レミアールは指揮官室にいた。
机に座り、積み上げられた書類の一枚一枚に目を通し何かを書き込んで行く。
「俺が変わろうか?」
ルーズはいつもの調子で話しかける。
「結構です。貴方に書類を任せると大変な事になるので。」
「信用ねーなー。・・・でも、悩み事しながら書いてる今のお前よりは出来ると思うぜ?」
珍しく真面目なトーンで発せられたその言葉を受け、レミアールは手を止める。
「すみません。こんな事で・・・。」
「お前にとっては『こんな事』じゃねぇだろ。
それに、二人の時くらいは、仮面強がり外しても良いんじゃねーか?」
「・・・ごめんなさい、ルーズ。いつもの強い私を演じてると、つい忘れてしまうの。
本当の私はどんなだろうって。」
「まあ、仕方ねぇか。『トラウマ』なんてのは自分で解決するものだし、他人が口出ししても逆効果な気がする。・・・でも今のままで仕事はするな。」
「うん。・・・分かったわ。
それと、様子を見て全員を集めてくれる?皆に話す事があるの。」




夕方、政府の中の広場で隊員全員が整列していた。
その整列から離れた二人の内、一人はルーズ。
もう一人は整列した全員の視線を向けられたレミアールだ。
「突然ですが、しばらくこの支部を離れます。」
一瞬で隊員にざわめきが生まれる。
「え!?」
「ど、どういう事ですか!?」
「何か問題でも!?」
ルーズも、まあまあと皆を宥める。
「これは私情なので、貴方達には関係ありません。」
良い意味でも悪い意味でも関係は無い。と、レミアールは言う。
「しかし、私が居なかったとしても貴方達ならいつも通り。いえ、いつも以上の成果も上げられると確信しています。
では、これで解散とします。各自配置に戻って下さい。」




指揮官室に戻り、二人きりになった所でルーズは話しかける。
「お前にしては随分、無理矢理な話じゃないか?」
「ええ、私情に付き合わさせるのは、人間として失礼ですから。
・・・では、彼等をお願いします。」
支度を整え、部屋を出ようとするレミアールに対し、ルーズは扉の前で腕を組み邪魔をする。
「俺も行く。」
「何を!!彼等はどうするんですか!?」
「『私が居なかったとしても貴方達ならいつも以上の成果を上げられる。』・・・じゃなかったか?」
「!!」
「ったく・・・やっぱ放っておけねぇな。その調子だと。」
レミアールは少しルーズを睨んだ後、呆れま顔をする。

「・・・・・・はぁ。分かりました。護衛をお願いします。」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品