天魔界戦

皇神凪斗

第59話 痛み

ロキの速さを捉えたアルマは、不利な状況を脱した。
その状況を嫌ってか、ロキは剣の打ち合いを辞め、戦法を変えた。
「『大地の一片ピース・オブ・グラウンド』」
二人の間に、大きな岩の角が生える。
「『エクスカリバー』!!」
アルマは即座にその岩を破壊する。岩が砕けたことにより発生した土煙の中にロキは姿を隠す。
「・・・『俺に従え』!」
土煙が晴れた時、アルマの目の前にいたのはロキと六匹の竜だった。黒死竜との戦いで見た、それぞれ違う魔法の竜だ。
ロキが手を掲げると炎の竜が突進してくる。
「それだって『魔法』だろ?」
アルマが剣で炎を切ると、すぐに炎は消滅する。
しかし、その背後に岩の竜が潜んでいた。
自然操作魔法は一つの魔法につき一属性しか操れない。つまり、ロキは六つの魔法を同時に発動している事になる。
不意な攻撃でアルマはその腹に竜の顔が激突する。そのまま持ち上げられるアルマ。
「ぐっ!・・・この野郎!!」
竜の首に剣を突き刺そうとするが、背後に何かを感じ取った。
雷だ。雷の竜がアルマの背後から噛み付く。当然、アルマの全身に電流が走る。
感覚がおかしくなり、身動きが取れない。更に風の竜が全てを飲み込む。
身動きが取れないまま、全身が刻まれていく。
「痺れが取れたぜ!『弾け』!!」
同時に雷、岩、風の竜が砕け散る。そのタイミングを見計らってか水の竜がアルマに噛み付いた。
そのまま両腕両足に絡みつく。
「次から次へと・・・邪魔くせぇ!!」
「まあ、そうイライラするな。次で最後だ。」
アルマの目の前には闇の竜が構えていた。
「アルマ、痛みを知れ!」
闇の竜はアルマへと近づきその腹に噛み付く。

否、闇はアルマの身体をすり抜ける。
次の瞬間、アルマは感じたことの無い痛みを全身に感じた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品