天魔界戦

皇神凪斗

ムラサキ vs ルーズ その2

「お前ら!ちょっと離れとけ!」
「は、はい!!」
ルーズの呼びかけで政府の隊が二人から離れていく。
「まさか一人で私とやろうっての?馬鹿ね。」
「まあ、ほざいときな。お嬢さん!」
ルーズは右手を掲げる。すると、その手から黒い光が漏れ出す。
その光は細長く形を変える。ルーズがそこにある何かを掴む。
「『魔杖まじょう
・・・ケリュケイオン』!」
次の瞬間ルーズの右手には金属製に近い材質をした黒い杖を持っていた。
それは絡まった二匹の蛇から出来ており、その蛇の背中には翼が生えている。
「魔具の・・・杖?」
「分かってんだろ?俺の本業は魔法さ!!」
ルーズがその杖を振ると、周囲に赤い炎が浮かび上がりルーズの周りをぐるぐると回り出す。
次第にルーズの髪が明るくなり、赤い髪が橙色に近づいていく。
「行くぜ?『焔大蛇ほむらのおろち』!」
ルーズの前に彼の身の丈程の口を持つ蛇が浮かび上がる。
それは蒼い炎出来ていた。しかも、二匹。
「二匹!?蒼い炎でも高度な魔法だと言うのに。」
「この『ケリュケイオン』の能力だ。単純にして明快、魔法を『倍』にする。」
二匹の蛇はムラサキに向かって這いずり、襲い掛かる。
「全く・・・。面倒な男は嫌いよ。」
小さい声で呟いた。怒りを込めて。
「あんたなんかに『これ』を使うなんてね!!」
ムラサキは突然その手にある杖を放り投げる。そして、蛇に向かい手を突き出す。
蛇は飛び上がり、ムラサキに噛みつかんと口を大きく開けた。
ムラサキの手は白い光を放ち始める。ルーズと同じく、その光は細長く伸びる。
その光を使い、ムラサキは簡単に蛇を叩き伏せた。
「ん?」
ルーズの顔に警戒の色が浮かぶ。理由は『ケリュケイオン』の能力を行使して発動した魔法を弾いた事だ。
魔具の力は悪魔の力、人間の魔法や武器では全くと言っていいほど効果は無い。
しかし、ムラサキのその手に握られている『神器』を見て納得した。

「さっさと殺してその杖を頂くわ。
──────『天杖てんじょう ミストルティン』!!」

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