天魔界戦

皇神凪斗

ゼツ vs レイジ その4

ゼツは銃を乱射するが、レイジの雷を纏った剣は凄まじい速さで弾丸を切り弾道を逸らしていく。
「・・・『伝雷でんらい』!」
レイジが手を前に出すと、その足元から雷が放たれる。雷は地を伝いゼツの足元へ。
その後ゼツの足元から身体目指して急上昇する。
ゼツは片手の銃でそれを防ぐ。
「『雷撃』!!」
今度は頭上から雷が降り注ぐ。ゼツはもう一つの銃で防ぎきる。
次に、レイジはゼツに接近、剣を振るう。
ゼツは銃に付けられた短いナイフで受け止めた。
「せやぁあ!!」
レイジは剣を振るい続ける。何度も打ち付けられる刃からは、まるで電気の鋸のように火花を散らす。
しかし、一太刀もゼツに触れることは無い。
「悪いな。お前さんの剣筋は見切った!どれだけ速くても予測できれば問題ないよな?」
「くっ!!」
ゼツは瞬時に新たな弾倉を装填し銃を構える。
かなり近距離で銃を突きつけられてしまう。
「『ライジング』!」
レイジは背後に回る。
しかし、ゼツは振り返りながら銃を横薙ぎする。レイジは右手を少し切り裂かれる。
「『雷球』!!」
ゼツとレイジの間に高圧の雷が出現し、周辺に雷を放ち始める。
「うおおぉぉ!!!」
ゼツは避けることが出来ず、全身に痺れと痛みを感じ動くことが出来ない。
レイジは一度剣を上を放る。
「『雷拳らいけん』!」
拳に集めた魔力が雷に変わり、光速の拳がゼツの腹部にめり込む。
ゼツは『雷球』の射程外へ吹き飛ばされ、地面を転がる。
だが直ぐに、立ち上がる。少し痺れが残ってはいたが、まだ戦闘不能には追い込んでいない。
「まだだ!!」
レイジはさらに追撃を狙う。痺れが効いているうちに。
その直後、ゼツは素早く銃を乱射する。
「何!?」
レイジは急いで剣を振り回す。身体を捻り、ほとんどの弾丸を躱し、残りを切り裂く。
しかし、逸らした弾丸が一つ、レイジの左足を貫く。
勢いが殺され、地面に倒れる。ゼツまではまだ少しばかり距離があった。
「・・・残念だったな。お前さんの『ライジング』も、脳の電気信号を弄って無理矢理身体を動かしているだけ・・・脚が動かなければ意味は無い・・・だろ?」
「また、やられたよ・・・!!、凄く・・・痛いね。」
ゼツは両方の銃を構えた。
「あばよ。楽しかったぜ?」
そして、引き金を引く。

でも、まだ戦える!!!

「『ライジング』!!!!」
レイジは身体を動かす──────
ゼツへ向かって──────

──────真っ直ぐ。

弾丸はレイジの背中を掠める。しかし、レイジは止まらない。
ゼツの目が見開かれる。
「嘘───」
その勢いのまま、右足をゼツの両足に叩きつける。ゼツの身体は一回半回転し、仰向けで地面に倒れる。
レイジはゼツの首目がけて、剣を振り下ろす。

しかし、その剣はギリギリゼツを傷つけず地面に突き刺さる。

「・・・おいおい。左足ぶち抜かれてなんで動かせるんだよ・・・。」
「あなたの言った通り、『無理矢理身体を動かす』んですよ。そこに、痛みがあろうとも、動かせる以上動かせます。」
「なるほど・・・全く、完敗だ。・・・さっさと殺してくれ。」
レイジは剣を引き抜くと、ルーズから受け取っていた手錠をゼツにかける。

「すみません。僕は人を殺すのが苦手なので。」

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