天魔界戦

皇神凪斗

ゼツ vs レイジ その2

レイジは幾度と無くゼツの後ろを取り剣を振るうが、簡単に防がれてしまう。
「まさか、ここまで僕の速さが通用しない人は初めてだよ。・・・いや、二人目かな?」
「確かにお前は速い。でもうちのボスはもっと速いんでな。目が慣れちまってるのさ。」
「なるほど。本当に厄介だね!」
ゼツは一つの武器を使わず、槍から斧、盾や鎖鎌など、多彩な攻撃で隙をついてくる。
「『雷撃』!!」
レイジが剣を掲げると、ゼツの上空に黄色い魔法陣が現れる。
そして、掲げた剣を振り下ろすと、魔法陣より雷がゼツへ降り注ぐ。一瞬の攻撃で避けることは出来ない。
しかし、ゼツの身体、及び装備には全くと言うほどダメージが無い。
「なんかズルしてるみたいで気分が悪ぃな。出来れば大人しく帰って欲しいんだが?」
「あなたは優しい人だね。あなたのボスや仲間とは大違いだ。」
ゼツは手を広げて少し笑ってみせる。
「あいつらが変なのさ。でも俺にはこっちの方が性に合ってる。」
「でも、僕だって簡単に引き下がれない!・・・『轟雷剣』!」
レイジの剣に雷が纏わり付く。それは激しい光を放ち、漏れた雷が地面をも焦がす。
「はぁ・・・だから魔法は効かねぇって・・・。」
「『ライジング』!!」
レイジは光となり、ゼツに接近する。今度は後ろに回らず正面から剣を振りかざす。
「よっと。」
ゼツは盾でその剣を受け止める。
速さにより重さを増した剣だったが、ゼツの筋力で抑えられてしまう。

刹那、雷が盾を飲み込む。

ゼツは目を見開き、盾を離すが雷の方が速かった。
「っ!!・・・うあぁぁ!!!」
レイジの剣より盾を伝わり、ゼツの腕から全身へ雷が駆け抜ける。
全身の痛覚を刺激され、大男ゼツは叫び声を上げよろめく。
何とか、倒れずに立ち姿勢を維持したが、盾を持っていた腕は小刻みに震えている。
「ちっ!・・・やるじゃねぇか!お前さんよォ!」
ゼツは思わぬ強敵の出現に喜びの表情を表す。
「魔法防御の魔法がかかっていたけど、あなたの魔法ではない。魔力を流し、魔法を維持しているならともかく、魔道士の手を離れた今、その魔法には限界がある。」
「おいおい!お前さん、剣より魔法が得意だってのか!?」
レイジは少し俯く。
「・・・残念だけど。僕には兄さんのような剣の才能は無かった。だけど、この雷の魔法なら兄さんにも勝てる!

・・・見せてあげるよ、僕の本気を!」

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