天魔界戦

皇神凪斗

ロキ vs アルマ その2

アルマは立ち上がり、剣を構える。
ロキは魔道士の距離を保ち、アルマへ近づく。
「俺の趣味は魔法の研究でな。竜の叫びだろうと魔法で再現出来る。」
「ったく。面倒な魔法作りやがって・・・。
さて、どーするか。」
「・・・アーサーの剣術は、動いた方が負ける。
だが、お前は俺の魔法に対し無理にでも距離を詰める必要がある。酷いジレンマだな?」
ロキの魔法に対し、アルマも魔法で対処していては魔力量で負ける。魔力が尽きてしまえば、魔装も持続できず負けるのは必然となる。
しかし、剣の腕は互角。アルマはかなり不利な戦いを強いられている。
「なら・・・出し惜しみは無しだ。『魔装』!!」
アルマはさらに『魔装』を強化する。
そして、アルマは血を蹴る。床がさらにひび割れ、瓦礫が宙を舞う。
ロキは左手を前に出し、魔力で壁を作る。
「お前のその魔力、触れるって事は────」
アルマは剣を振るう。その軌跡に光が生まれる。
その光は斬撃となってロキへ向かっていき、魔力の壁を『両断』する。
「────ぶった斬れるって事だよなぁ!?」
「ちっ!!」
それはロキが初めて見せた悔しみの顔。
アルマはその勢いのまま、ロキへ接近する。
ロキは魔剣で光の斬撃を弾き、アルマを迎え撃つ。
魔装によってさらに身体能力を強化したアルマはロキの技を押さえつける。
ロキは一歩、また一歩と下がっていく。
「しつこい!!」
魔力を具現化させて、迎撃する。
「・・・そこだろ?」
しかし、アルマは簡単に見えない攻撃を弾き、ロキの魔力を斬る。

「・・・つっ!!」

突如、ロキの剣速が増しアルマの鼻先に剣が突きつけられる。
アルマは反応が一瞬遅れたものの、ギリギリの所で躱し距離を取る。
「・・・『魔装』」
ロキの周り空気が変わる。
「・・・面白いじゃないか。」
「はあ?」
「いいぞ!俺の目は正しかった。お前なら俺の退屈を満たしてくれるだろうな!!」
「・・・なんか分かんねぇけど。こっからが本番か?」
「行くぞ!」
ロキの姿が掻き消える。それと同時に後ろで大きく風が吹く。
「!!・・・後ろか!」
振り向き際に剣を受け止める。するとロキの左拳が飛んでくる。
それは見事にアルマの顔に命中する。たまらずアルマは目をつぶる。
「『剣技 六閃』!!」
「やばいっ!!」
咄嗟に体の前に剣を出すが、重たい衝撃で弾かれる。
さらに、ガラ空きになったアルマの身体へ剣が叩き込まれる。
その剣は空気をも纏い、アルマの身体を吹き飛ばす。
宙にアルマの血が舞う。玉座を粉砕し、壁に激突、土煙がアルマを包む。
ロキは追撃の魔法を使おうと左手を前に出す。
「おらよ!!」
煙の中から声。そして、煙を突っ切るように何かが飛び出る。
ロキはそれを即座に両断する。
「馬鹿か・・・!!」
だが、それはただの瓦礫だった。
次の瞬間、瓦礫を追うようにしてアルマが飛び出す。
剣を左手に持ち、右の拳には魔法陣が現れている。
「『ディヴァイン・ストライク』!!」
ロキはそれを魔剣で受け止めるが、威力を殺しきれず手放してしまう。
「『転移テレポート』!」
「『エクスカリバー』!!」
アルマはロキの足下に現れた魔法陣に聖剣を突き刺す。
魔法陣はガラスの割れるような音と共に散る。
次に、ロキは足に力を込める。距離を取るために。
しかし、アルマはその足を踏む。ロキの足は地面にめり込んでしまう。
「!!・・・『幻竜咆哮』!!」
ロキとアルマの間に風が吹き荒れる。それは竜頭の形となってアルマの前に立ちはだかる。
「『ディヴァイン・インパクト』!!!」
アルマは構わずその竜頭を殴る。すると台風の目が潰れたのか、空気は四散してしまう。
「・・・くらえぇぇぇぇぇ!!!!」

ついにアルマの拳がロキを捉える。

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