天魔界戦

皇神凪斗

第55話 無法者武術指南・ゼツ vs レイジ

周りは殺意に満ちた戦場の中で落ち着いた表情をする男、ゼツ。
多くの武器を背負い、レイジと対峙しながらもその手にはまだ何も握られてはいない。
「そんなにいっぱい武器を持って、重くないのかい?」
「まだ相手の手の内が読めないんでな。どんな武器が必要になるか分からなくてな。」
日焼けしたような肌でスキンヘッドの男は見た目通りの低く印象強い声で答えた。
「だったら今!教えてあげるよ!!・・・『ライジング』!!」
瞬間、レイジは雷となる。ゼツの後ろに周り、その首目掛けて剣を振り下ろす。
ゼツが気づいた様子はない。しかし、少しの振り返りもせず右腕を動かし、槍を掴むと肩に担ぐ。それも高速に。
レイジの剣は防がれてしまう。
「!!」
ゼツは槍で剣を弾くと振り返りながら横薙ぎする。
レイジは少し服を切られたものの、無傷で回避に成功する。
「早いな。だが、あいつロキ程じゃない。」
「それで付いてこれた訳か。納得したよ。」
ロキはレイジの光速で動く『ライジング』にただの『魔装』で付いてきた。
呼び方からしてもゼツはロキと親しい関係にあるのだろうか。明らかに速い相手に対する戦い方を知っている感じだ。
「俺にそのスピードが通じると思うなよ?」
「なら・・・『三叉轟雷槍』!!」
レイジが左手を掲げると大きな魔法陣が現れ、そこから三つの雷が生まれる。
そして巨大な槍となってゼツに向かい飛来する。
ゼツが左手で異空間から大きな盾を取り出す。
「鉄の盾?」
左手にはめた盾で守るが、本来なら電気は金属を伝う。
しかし、レイジの目の前で雷は鉄に弾かれた。
「・・・なるほど。特別製って訳だね。」
「あぁ、魔法はあまり得意じゃなくてな。だが、俺の武器に魔法は効かねぇ。
さあ、どうする魔道士?」

「これはちょっと、まずいかな。」

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