天魔界戦

皇神凪斗

第53話 理由

「どうしてこんな事をしたか・・・だったな?」
アルマは軽く頷く。
「そうだ!お前の両親はこんな事を望んでいるのか!?」
ロキはアルマを睨む。
「お前が言えた事か?」
「・・・どういう意味だ?」
ロキは少し間を置き、真実を話す。
「俺の両親はな────

あの村ヒューザ村の人間に殺されたんだ。」

「は?」
アルマは困惑する。その言葉を受け入れられない。
「んな訳ないだろ!?みんながそんな事・・・!!」
「重要なのは本当かどうかではない・・・俺がお前の村を潰したのも『復讐』と言う事だ。」
そしてアルマも『復讐』を選んだ。
これは連鎖だ。いつまでも終わらない連鎖。
『復讐』への『復讐』。
「もはや確かめる方法など無い。信じるかどうかはお前次第だ。
だが、俺が嘘をつく利用も無い。」




アーサーとドロシーはその強さ故に恐れられていた。戦いを知らない村の人々に。
その目はアルマとロキへ向けられた。
彼らは殺す事にした。二人を。
だが二人が死んでは疑われる。よってその両親、アーサーとドロシーの子供を───




「それが真実だ・・・。人間とは恐ろしいな?自分を守るためなら子供をも殺せるんだ・・・。」
「・・・殺人鬼が何言ってやがる!!」
「お前も同じだ・・・俺達デスペラードを殺したかったんだろう?
存分に殺るがいい、あのクズ共が死のうと俺には関係無い。」
アルマは歯が欠けそうな程食いしばる。
「お前!!人間を何だと思ってるんだ!!」
「知っているだろう?俺が仲間にしたのは死んでも誰も悲しむことの無いクズ・・・。だがクズだからこそ使う事に躊躇はない。クズだからこそちからで征服できる・・・!!」

アルマの頭の中にカリナ氷姫シャールの笑顔が浮かぶ。

「シャールはどうなんだ・・・。」
ロキの表情が冷める。目が細くなり口は笑いを浮かべない。
「『エクスカリバー』の力を解放する時、お前は闇の魔導師として現れた。そして口では『道具を取り返しに来た』と言う。
あいつらをクズ呼ばわりするならシャールも見捨てるべきじゃないのか?
俺達に捕まるような足でまといを。」
「・・・あぁ、あいつは特別だ。クズは所詮クズ、命令を与えても多少のミスは当然のようにしてくる。口は達者でも常に俺の首を狙っている。恐怖によって付いてくる者、デスペラードの名欲しさで付いてくる者。
だがシャルは違う。れっきとした忠誠だ。忠誠により付いてくる。
あいつは何があっても俺を裏切らないだろう。」
アルマは無言で聞いていた。こんな殺人鬼でも人に心を寄せるのだろうか、と。
「あぁ、あいつは良い奴だ!!だからこそ負けられねぇ・・・。お前を倒して、殺しを絶対に辞めさせる・・・この世界血塗られた戦場から解放する!!」
「・・・簡単に言ってくれるな。殺しはいつまでも続く。人間が存在する限り。」
ロキは剣を床に刺したまま腕を構える。

「さあ、お前の力を見せてみろ・・・!!」

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