天魔界戦

皇神凪斗

第46話 聖剣の力

ミカエルが視界から消えると体にかかる圧力を思い出した。まだロキの術中である。
「アルマ!!」
突然の叫び、声の主はドロシー。唐突に投げられた物を掴み取る。
アルマが掴んだのは大剣、それも黄金に輝く聖剣。
封印を解いたせいか、暖かな光が剣だけでなくアルマの体さえも覆っている。
アルマは新しい武器を手に入れた喜びで頬が緩む。
「行くぜ・・・『聖剣 エクスカリバー』!!」
アルマがその名を叫ぶと光が一層強くなる。
次の瞬間、ガラスが割れるような音と共にアルマにかかっていた圧力が消えた。
「それが、『エクスカリバー』の能力・・・。触れた魔法を無効化する。魔道士には最悪の能力だな。」
「これで、お前の魔法も無意味になったな?
・・・覚悟しろ!ロキ!」
アルマは剣を構える。その時────

「待ちなさい!!」

「!?・・・何だ?レミアール。」
レミアールは、自力でロキの魔法を弾く。そしてルーズに目配せする。
ルーズは動けはしないものの、手のひらを合わせると魔法を発動する。
「おうよ!!くらいな・・・『蒼炎牢』!!」
ロキの足元に赤い魔法陣、そこから『青い』炎が吹き出る。
その炎はロキの周りを蛇のように巻き付き、締め付ける。ロキは魔剣を取り出し押し返す。
「ほう。悪くない魔法だ。」
「お前ら止めろ!下手に手ぇ出すと死ぬぞ!!」
アルマの言葉を聞いた後レミアールは叫ぶ。

「黙りなさい!!
あなた達に依頼した覚えはありません。悪人が目の前にいる以上、私が裁きます!!」
ロキは余裕な笑みを浮かべる。
「貴様らでは無理だ。
・・・『ヘル・スパイラル』。」
魔剣を地面へ突き刺す。すると魔剣より黒い何かが浮き出る。
「あれは!黒死竜の時に見た・・・。」
しかし、あの竜に向けた細く鋭い槍状ではなかった。
その黒い何かはロキの体から炎を内側から剥がしていく。ロキを守る竜巻となった。
「あの剣・・・まさか・・・。」
ドロシーの目が険しくなる。
「ここで仕留めさせてもらいます!!」
レミアールが手を振り上げる。すると上空に何重もの魔法陣が現れた。
その二重円の中には見慣れた魔法の文字は無かった。
「ん?ただの魔法ではないな。」
レミアールの近くに風が吹き荒れる。魔法陣も輝きを増す。
次に振り上げていない方の手をロキへ向ける。
ふるとロキの足元に光の十字が刻まれる。

「これで終わりです、ロキ!!
────『ジャッジメント神の裁き』!!」


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