天魔界戦
第36話 人の形の、人ならざる者
腐っていた、としか言い様がない。
死人のように白い肌には、所々カビが生え肉が、そして骨が見える。
明らかに死人の体が動いている。
「死霊術師の仕業か・・・?」
「恐らくそうだろうね。さっきの発言は記憶を操作されているのかもしれない。」
「ここに、本体はいないみたいだな。」
「と、すれば。君の出番だ。アルマ君、光魔法でトドメを。」
「おう!」
まずは鎧を剥がなければ。その鎧は傷だらけで、黒死竜の鱗に比べれば紙のようなもの。しかし、大きさは人間サイズ。手を伸ばせば触れるというものでは無い。
しかし、近づきにくいのだけは同じだった。
その腐った肉体に力は劣らない。だが、技術が負けている。
剣に体重を乗せる。その鎧の重さがアルマを押していた。
大剣の鎧が、地につけていた足を少しずらす。
その地には『魔法陣の描かれた紙』が張り付いていた。
突如その魔法陣が異様に光を発する。白が視界を埋める。
「フラッシュか!?」
次は黒い影がアルマを覆う。いや、今だ眩しいままだ。
視界は白と黒。その黒い部分は人の形を成し、アルマに向かって剣を振り下ろす。
「アルマ君!!後ろだ!」
レイジの叫びで振り返りそうになる。しかし、目前の剣から目を逸らすことは出来ない。
その剣は右手の剣で、後ろから横薙ぎされた戦斧を左手の剣で受け止める。
アルマはなんとなくそれを察知した。ただの感だが。
「はあっ!」
レイジが戦斧の鎧の左手に向かい剣を振り下ろす。
肘から先がボトリと地面に落ち、ドロリとした赤黒い液体が少しだけ吹き出す。
死体を切るのは抵抗があるが、死人をいつまでもこの姿でいさせる訳にはいかない。
アルマは戦斧を押し返す。腕一本で持っていたことで弾くことが出来た。
そして左手の剣で、右手の剣を叩く。今度はアルマが剣を押し返す。
そのまま追撃、両腕を振り上げ、交錯させながら振り下ろす。
大剣の鎧は後ろに飛ぶが、胴の鎧に大きな傷を付かせることに成功する。
ドロドロした血が垂れる。
「次は・・・その首貰うぜ!」
アルマ達の方から光が溢れる、此処こそチャンスだとメルは攻撃手を増やす。
杖を水平に構える。
「『ホーリーランス』!『風衝波』!!」
メルの杖に白色と緑色の魔法陣。
一つから細長い槍状の光が現れる。もう一つの魔法陣が光ったと思うと、辺りに強風が吹く。それと同時に光の槍が、高速で放たれる。
アルマ達の会話はもちろん聞いていた。
光の槍は見事に弓の鎧へ突き刺さる。メルの魔法はただの金属で防げる威力ではない。
恐らくは胸を貫いただろう。
その鎧は手に持つ弓と矢を地面落とし、信じられない様子で自分の胸を見る。そして糸が切れた人形のようにその場に倒れる。
それは生きている人間の様だった。メルは少し罪悪感を感じた。
命を断つことに罪の意識がある事は嬉しい、しかしその行為に正当さは感じなかった。
「でも、勝たせてもらうよ。あなた達の為にも。」
もう一度その鎧を見る。
「え?」
握っていた────
大量の紙を───
それを空へ放る。
散る紙はそれぞれ違う光を放つ。
次の瞬間、花火が生まれる。
炎が、雷が、風が、光が、辺りへ散る。
「くっそ!『黄金の──
そして、天井が降ってきた。
死人のように白い肌には、所々カビが生え肉が、そして骨が見える。
明らかに死人の体が動いている。
「死霊術師の仕業か・・・?」
「恐らくそうだろうね。さっきの発言は記憶を操作されているのかもしれない。」
「ここに、本体はいないみたいだな。」
「と、すれば。君の出番だ。アルマ君、光魔法でトドメを。」
「おう!」
まずは鎧を剥がなければ。その鎧は傷だらけで、黒死竜の鱗に比べれば紙のようなもの。しかし、大きさは人間サイズ。手を伸ばせば触れるというものでは無い。
しかし、近づきにくいのだけは同じだった。
その腐った肉体に力は劣らない。だが、技術が負けている。
剣に体重を乗せる。その鎧の重さがアルマを押していた。
大剣の鎧が、地につけていた足を少しずらす。
その地には『魔法陣の描かれた紙』が張り付いていた。
突如その魔法陣が異様に光を発する。白が視界を埋める。
「フラッシュか!?」
次は黒い影がアルマを覆う。いや、今だ眩しいままだ。
視界は白と黒。その黒い部分は人の形を成し、アルマに向かって剣を振り下ろす。
「アルマ君!!後ろだ!」
レイジの叫びで振り返りそうになる。しかし、目前の剣から目を逸らすことは出来ない。
その剣は右手の剣で、後ろから横薙ぎされた戦斧を左手の剣で受け止める。
アルマはなんとなくそれを察知した。ただの感だが。
「はあっ!」
レイジが戦斧の鎧の左手に向かい剣を振り下ろす。
肘から先がボトリと地面に落ち、ドロリとした赤黒い液体が少しだけ吹き出す。
死体を切るのは抵抗があるが、死人をいつまでもこの姿でいさせる訳にはいかない。
アルマは戦斧を押し返す。腕一本で持っていたことで弾くことが出来た。
そして左手の剣で、右手の剣を叩く。今度はアルマが剣を押し返す。
そのまま追撃、両腕を振り上げ、交錯させながら振り下ろす。
大剣の鎧は後ろに飛ぶが、胴の鎧に大きな傷を付かせることに成功する。
ドロドロした血が垂れる。
「次は・・・その首貰うぜ!」
アルマ達の方から光が溢れる、此処こそチャンスだとメルは攻撃手を増やす。
杖を水平に構える。
「『ホーリーランス』!『風衝波』!!」
メルの杖に白色と緑色の魔法陣。
一つから細長い槍状の光が現れる。もう一つの魔法陣が光ったと思うと、辺りに強風が吹く。それと同時に光の槍が、高速で放たれる。
アルマ達の会話はもちろん聞いていた。
光の槍は見事に弓の鎧へ突き刺さる。メルの魔法はただの金属で防げる威力ではない。
恐らくは胸を貫いただろう。
その鎧は手に持つ弓と矢を地面落とし、信じられない様子で自分の胸を見る。そして糸が切れた人形のようにその場に倒れる。
それは生きている人間の様だった。メルは少し罪悪感を感じた。
命を断つことに罪の意識がある事は嬉しい、しかしその行為に正当さは感じなかった。
「でも、勝たせてもらうよ。あなた達の為にも。」
もう一度その鎧を見る。
「え?」
握っていた────
大量の紙を───
それを空へ放る。
散る紙はそれぞれ違う光を放つ。
次の瞬間、花火が生まれる。
炎が、雷が、風が、光が、辺りへ散る。
「くっそ!『黄金の──
そして、天井が降ってきた。
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