天魔界戦

皇神凪斗

第33話 アーサーの行方

エクスカリバーの名前を聞き、グランは一つの疑問を口にする。
「そういや姐さん。貴方が生きてるって事はアーサーさんも・・・。」
ドロシーは少し暗い顔をする。
「・・・いえ、あの人はもう死んだわ・・・。自分でね。」
「自分で・・・?婆っちゃん、それマジか?」
ドロシーの発言にアルマの表情も強ばる。
「ええ。何も言わず・・・、唐突に別れを告げて・・・。」
「嘘だろ?爺っちゃんが何の理由も無く・・・自殺?」
もちろんアルマに確信などない。アーサーが生きている事に目的を持っていたとか、心残りがあるとか、とても明るい性格だとか。
そんな事はアルマには分からない。
しかし、とても慕っていた祖父の意味不明な行動を否定せずには居られない。
少しの沈黙の後、グランはアルマへと顔を向ける。
「・・・なぁアルマ。俺もアーサーさんとは会った事がある。いつも何考えてるか分からねぇ性格だったが、行動には必ず意味があった。
最期にそう行動したのも、何か意味があったんじゃねぇか?」
「・・・あぁ。」
メルはしばらく様子を伺った後、その湿っぽい空気を変えようと話題を出す。
「あ、あの!そう言えばドロシーさん、本当にお若く見えますよね!?」
「あぁ、私は『体の時を戻して』ずっと二十歳位で止めてるから。」
まだ暗い顔のドロシーも、気を使われて少しだけ笑みが戻る。
「す、すごい!流石です!!そんな凄い魔法も使えるドロシーさんがいれば!あと人ロキも楽に倒せますよ!」

「ごめんなさいね、私は『この戦い』には参加しないわ。」

「え?」
「・・・理由を聞いても?」
「これは・・・あんたの戦いよ。アルマ。
あのガキロキがあんたを選んだ。ならそれは私の介入すべきではない、あなたの戦い。
今、この言葉はあなたには理解出来ないかもしれない。でもいつかは分かる、だから忘れないで。」
「・・・分かった。」
アルマは短くそう答える。
ドロシーは満足気に笑う。

「さあ、『聖剣』!取りに行くわよ!」

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